Lords of the Spanish Main : GCS 03/27
前日の Origins に続いて、珍しく二日連続で Sierra Madre Games のマルチゲームが登場。
Lords of the Spanish Main (Sierra Madre Games)
坂戸シエラ会の首班、TAG氏提供。例によって埋もれた名作のご紹介、ありがとうございます。
本作は2006年出版。17世紀カリブ海の権益をめぐる2-8人向けのマルチゲーム。日本ではまったく話題にならなかった作品ですが、同時期に American Megafauna の第2版&エキスパンション、翌年に Origins が出版されており、これらのゲームと共通するカードオークションを骨子とするシステムが使用されています。
これは各プレイヤーは行動の選択肢の少ない状態からゲームを開始し、ゲーム中のオークションで追加能力を持ったカードを獲得し、アクションの幅を広げてゆくというシステムです。爬虫類進化を扱った American Megafauna では「水掻き」や「長い首」といった遺伝子が、人類史をテーマとした Origins では「丸木船」「陶芸」といった技術がこれにあたります。この点はロケット技術のパテントを競り合う最新作、High Frontier も同様です。
そして Lords of the Spanish Main でのプレイヤーの立場は、カリブ海で一山当てようと集まった欧州各国の冒険商人たち。1ターンは1年で、20ターン以降の終了カードが引かれた時点で、もっとも所持金の多いプレイヤーが勝利します。
ゲーム開始時の各プレイヤーは、Santo Domingo にタバコ農場を持つスペインの Guadalcazar 侯爵を除き、貿易船団をひとつ持つだけの駆け出し状態。そしてオークションの対象となるのは以下の3種類のカードです。
- 新大陸の産物を生み出す農場・鉱山・原住民集落などのコロニー:Santiago, Barbados, Chetumal など
- コロニーの産物をヨーロッパに輸送し、私掠船やコロニー襲撃にも転用される船団:Henry Morgan, George clifford, Piet Heyn など
- 特殊能力を持った組織や指導者:Cromwell, Las Casas, Urban 4世など
各カードはすべて歴史的なコロニーや人物・組織の実名入り。これらの中からどれを獲得して伸ばしてゆくかにより、各プレイヤーの戦略が左右されます。
今回は Guadalcazar 侯爵兼スペイン通商院(スペイン:S木氏)、Walter Raleigh 卿(英:TAG氏)、Lerma 公爵(スペイン:風見鶏氏)、Kettler 公爵(クールラント:N村)でのインスト4人戦。各プレイヤーとも初期配置唯一のコロニー、Santo Domingo に立ち寄ってタバコをヨーロッパに持ち帰る日々が続きます。Kettler 公爵はオランダの Walbeek 提督を仲間に加え、さらに通商院の造船所に賄賂を送って船団を拡大。商いの規模も大きくなり、3人の貿易船プレイヤーの中では一歩リードします。
そうこうするうちに、通商院10年の一度の大仕事、新大陸の財宝を本国へ輸送する期日が迫ります。これは中米4箇所の財宝都市に登場する財宝を本国に輸送すると、輸送した財宝の数に応じて追加のVPが獲得できるというイベントです。当然財宝の輸送には、この任務のために船団カードを割り当てる必要があります。この時点で Guadalcazar 侯爵は配下に船団を持たなかったため、Raleigh 卿と Kettler 公爵に輸送を依頼し、VPは三者で分配することになりました。
#ちなみに1個も輸送できなかった場合、通商院担当のプレイヤーは解任され、以後ゲーム終了まで財宝が登場しなくなります。
この財宝輸送と前後して、Britain at War や Thirty Year's War のイベントが相次いで発生しますが、国籍も宗教も無頓着なクールラント陣営は大事に至らず。ようやく登場した第2の農場コロニー Caracas を獲得し、この開発に努めます。また農園人生だった Guadalcazar 侯爵も船団を獲得。この両者は生産と輸出を自陣営内でおこなえる自給自足体勢が整います。
そして再びやってきたスペイン財宝の出荷年。ここで Raleigh 卿と Lerma 公爵の両者は配下の全船団を私掠船に転換。一発逆転の財宝船の拿捕を目論みます。Raleigh 卿の配下には最強の航海術を持つ Henry Morgan が、Lerma 公爵の元には Morgan に続く航海者 Piet Heyn 提督が加わっており、海戦においては極めて強力な陣容です。ここで Guadalcazar 侯爵と Kettler 公爵は、財宝半分のみを輸送する安全策で提携。輸送を担当した Kettler 公爵は、Raleigh 卿の迎撃をかわし見事これに成功します。
この時点の各陣営の順位は Guadalcazar 侯爵、Kettler 公爵、Raleigh 卿、Lerma 公爵といったところ。やはり二度にわたる財宝の輸送成功が効いています。このあたりで通商院の援助で船団の拡充を終えた Kettler 公爵は、もはや通商院との協調は不要と Guadalcazar 侯爵との距離を置き始めます。Raleigh 卿が Old Providence にタバコ農場を、Kettler 公爵も Cumana に新たな交易所を開設したことから、Caracus と合わせて Guadalcazar 侯爵の Santo Domingo に頼らぬ経済圏が出現。経済封鎖により Guadalcazar 侯爵を追い落とすべく策謀を開始します。しかし3度目の財宝出荷年を控えた1624年、ゲーム終了のイベントが引かれ、サドンデス終了。結局順位は変わらず、Guadalcazar 侯爵(S木氏)の逃げ切り勝利に終わりました。
インストを含めたプレイ時間は4時間弱。思ったよりテンポの速いゲームでした。
ゲームのメカニズムは前述のように Phil Eklund のいつものシエラゲームで、序盤の選択肢の少ない時期に、人によってダレてしまう欠点は相変わらず。またコンポーネントも American Megafauna 同様のジップロックに二つ折りテントのユニットで貧弱です。しかし同時代のキャラクター総出演で、農場経営から海賊プレイまで自由な戦略が楽しめるのは非常に魅力的。扱うテーマからも、このシステムではもっともウォーゲーマー向けの作品なのではないかと感じました。
#いくら面白いといっても、American Megafauna や Origins, High Frontier で、それぞれテーマに関心のあるプレイヤーを集めるのは結構大変なのです。
というわけでN村も Dominant Species を後回しにして早速入手。例によって人柱募集中です。
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