Fighting Formations(その1): YSGA 05/04,05
先月到着した期待の新作戦術級ゲーム Fighting Formation。
YSGA の GW 2日例会にて、さっそく輪講プレイを開催してみました。
Fighting Formations: Grossdeutschland Motorized Infantry Division (GMT Games)
Combat Commander(以下CC) をデザインした Chad Jensen が新たにスタートさせた戦術級ゲームシリーズ。前作の CC が30m/分隊規模の歩兵戦のみを扱ったゲームだったのに対し、本作は75m/小隊/3両 (分隊・1両に分割可) と規模を拡大。各シナリオは大隊~連隊規模の戦いを再現しています。シリーズとしてはモジュール毎に特定の部隊の戦歴を追いかけるようで、GMT のサイトには今後の展開予定として 442連隊戦闘団なども挙げられています。そして本作で扱われるのは東部戦線のグロースドイッチュラント師団。残念ながらシナリオ/ユニットは1943年はじめまでの収録で、クルスク以降はオミットされています。この辺りは今後の C3i 誌や Battle Pack 展開でのサポートに期待したいところです。
◆イニシアチブポイントと命令システム
肝心のゲームシステムですが、前作の CC で話題を呼んだカードドリブンは使用されておらず、代わりに命令毎にイニシアチブポイント(IP)を消費する部隊活性化システムが採用されています。ここで用いられる IP の値は両軍共用で、ポイントを消費した結果がマイナスとなると手番が相手側にわたり、その時点のマイナス分が相手側の IP となります。従って大きな IP 値を消費する命令を実施した場合、相手側の反撃も大きくなることになります。リアクション覚悟で大規模な命令を実施するか、小刻みに連続した行動をとるかは悩み所です。
そしてこの命令は常時すべてが選択できるわけではなく、Order Matrix(*) 上でキューブの配置されている命令(およびその下位命令)のみが使用できます。選択されたキューブはマトリクス上から除去され、翌ターンまで利用できなくなるため、このキューブ選択をめぐる駆け引きもゲームの重要な要素となっています。
◆Mission/Tactical Command と指揮範囲
上記の命令を選択した時点で、Mission Command(MC) マーカーの指揮範囲内に存在しているユニットは、追加コスト不要で何ユニットでも同命令により活性化することができます。しかし指揮範囲外の場合は、1ユニットあたり 2IP の追加コストを消費しなければなりません。MC マーカーはターン更新時に裏面の Tactical Command(TC) に更新されます。TC マーカーの指揮範囲内では1ユニットあたり 1IP の追加コストが必要となり、運用効率が悪化します。
例:ソ連軍の射撃命令(3IP)で MC 内の5ユニット(0IP*3)とTC 内2ユニット(1IP*2)、指揮範囲外2ユニット(2IP*2)が活性化した場合、最終的な消費IPは9IPとなります。
さらに TC マーカーは翌ターンに除去され、1ターンの休止期間をおいて再配置可能となります。利用可能な MC/TC マーカーの数はシナリオにより指定されており、この戦闘の焦点における MC/TC マーカーのローテーションが、Command Matrix と並ぶ本作のコマンドシステムの肝となります。任務の達成具合に応じて次々と命令(MCマーカー)を下していかねばならないあたりは、Tactical Combat Series の指揮ルールの超簡易版とも言えるかもしれません。
また臨機射撃の活性化時にも MC/TC マーカーの指揮範囲が確認されるため、防御側でもコマンドマーカーのローテーションが必須となっています。
◆ダイスシフト
また他に類を見ないのが、ダイス判定に対する修正値の適用方法です。ダイスロールの基本は「2d10で大きな目を出す」ことなのですが、状況の有利不利により「2d6 < 2d8 < 2d10 < 2d12 < 2d20」とコラムシフトならぬダイスシフトで使用するダイスが変更されます。ロール結果に対する DRM はほとんどなく、「どちらかのダイスの目が[x]以下であれば射撃失敗/臨機射撃終了」という隠蔽地形や ROF の判定と相まって、各種判定の簡略化に大きく貢献しています。
◆マイルド化した Combat Commander
その他アセットカードの扱いやダメージチットの採用、また前述のポイントを消費した行動システムなど、Conflict of Heroes からの影響を強く感じるゲームシステムとなっています。IP 値を両軍共用の時間資源と見た場合、一種のスライス・オブ・タイム系のシステムとも言えるかもしれません。また戦闘システムは CC に近いため、個人的には「CC と CoH の中間システム」という印象を抱きました。プレイしたメンバー(N村の CC 仲間)の間では、CDS による理不尽さが大きく緩和されたため、「CC よりは普通の戦術級寄りで万人向け」 (笑) というところで、概ね意見が一致。システムの容易さの点では、カードテキストを読み込む必要がないことやルールの洗練さから、CC よりも若干軽めという印象です。
というわけで、プレイ編に続きます。
| 固定リンク
「YSGA」カテゴリの記事
- Kasserine Campaign : YSGA 2016/11/13(2016.11.13)
- Invasion of South Korea : YSGA 2016/10/09(2016.10.09)
- The Sicily Campaign : YSGA 2016/09/18(2016.09.18)
- Origins & Neanderthal : YSGA 2016/07/31(2016.07.31)
- Falling Sky : YSGA 2016/07/24(2016.07.24)
「Fighting Formations」カテゴリの記事
- 2011年N村的ベストウォーゲーム(2011.12.23)
- Operation Max and Moritz : GGG 05/08(2011.05.12)
- Fighting Formations(その2): YSGA 05/04,05(2011.05.07)
- Fighting Formations(その1): YSGA 05/04,05(2011.05.07)
コメント
期待作品をもっとレビューしてください。
そしてN村さんがもっと覚えたら教えてくださいね
投稿: yn | 2011年5月 7日 (土) 10時10分