« 東国争乱:YSGA 06/18 | トップページ | アークキング&営業管理: GCS 06/25,26 »

Persian Incursion : GCS 06/26

6月のゲームサークル坂戸にて、syphalias 氏のお誘いにより Persian Incursion の勉強会を開催。

Persian Incursion - Clash of Arms Games(*)

核開発を進めるイラクに対する、イスラエルによる核施設爆撃を扱う仮想戦ゲーム。といっても純粋な航空作戦ゲームではなく、様々な国際情勢を反映したシナリオは、各1週間(または2週間)と比較的長い期間を扱います(1日3ターン)。両国はこの期間内に周辺諸国への外交や、テロを含む不正規作戦を展開。メインイベントとなるイスラエルによる核施設への空爆と合わせて、相手国の世論を政権崩壊まで追い込むことを目指します。

#またはイランの製油施設と石油備蓄施設を破壊し、石油戦略を崩壊させるという選択肢もあります。

Persian-incursion-2011062601a

実際のゲームの流れですが、両プレイヤーは毎日の初めに自国世論および周辺諸国(トルコ、サウジ、ヨルダン)、大国(アメリカ、ロシア、中国)および国連それぞれの友好度に従い、情報・軍事・政治の各リソースポイントを獲得します。この獲得したリソースポイントを消費して、カードプレイ(主に友好度を操作する外交イベント)や友好国からの援助獲得、そして空爆やテロ、弾道ミサイル攻撃などの正規・不正規の軍事アクションをプロットすることになります。

メインイベントとなる航空作戦は、イスラエル側が目標となる核・石油施設を指定し、投入する航空部隊をプロット。これに対して同エリアのイラン側防空施設と戦闘機隊が迎撃を試みることで発生します。盤上での移動はなく、「長距離SAM」や「GCI戦闘機迎撃」といったゾーンごとに所定の迎撃行動を実施するというアブストラクト化されたもので、地図版を使用しない Downtown か、Fleet シリーズの航空攻撃のディテールをもう少し細かくしたようなイメージです。また航空部隊は中隊単位で管理され、1機ごとに攻撃の判定やステップロスが実施されます。

戦闘システムは Harpoon を使用しているとのことで少々警戒していましたが、適度に抽象化されているため 1回の作戦も30分程度で処理できました。外交パートもカードプレイでテンポよく進み、プレイアビリティは良好……と言いたいところですが、航空部隊の管理ルールに少々問題があるのが難点です。

問題の航空部隊の管理ルールですが、十数個の中隊が登場するイラン側の戦闘機部隊には、機種ごとに故障率が設定されています。イラン側はゲーム中毎ターンこの判定を実施し、中隊のうち何機が稼動状態にないかを確認しておく必要があります。何ら航空作戦が実施されないターンでも、イラン側はそれだけの故障判定のロールを実施し、中隊ごとに1機単位で稼働状況をプロットしておかなければなりません。加えて故障機は、夜間ターンに1機ごとに修理判定を実施して復帰を確認する必要があります。ゲームシステムの他の部分が意外に軽いだけに、この故障ルールには閉口させられました。「出撃後は故障率に応じたターン数だけ休養」など、他にもやりようは色々考えられるだけに、ここは非常に残念な処理でした。

 

今回の勉強会で使用したのは、イランの核開発を憂慮したトルコがイスラエルを支援したという設定の Turkish Delight シナリオ。陣営はイスラエル側を syphalias 氏、イラン側をN村が担当し。ルールの読み合わせながら、2日分6ターンまでプレイされました。

今回のイスラエル側は、初日と2日目にそれぞれ航空攻撃を実施。

初日の攻撃目標はイラク北西部の製油施設で、これに1個中隊24機の F-16I が投入されます。イラン側は F-5E, F-4D 各2機が迎撃に成功。これにイスラエル側は同数4機の F-16I を向かわせます。旧式のスパローとサイドワインダーの射程へと距離を詰めるイラク側に対し、イスラエル側は視界外からアムラームをつるべ打ち。結局イラク側戦闘機隊は F-16 の姿を見ることなく全滅します。あっさりと迎撃を排除した攻撃隊は、対空砲の射程外(36nm!)からトス爆撃で GPS 誘導爆弾を投下。わずか8機の攻撃により製油施設は壊滅し、イラク側は同国製油能力を2%にあたる損害を被りました。また帰投する攻撃隊にイラン側の F-4D 2機が迫りましたが、往路の戦闘に怖気づいたイラン側は交戦を断念。イスラエル攻撃隊は無損害で帰投に成功します。

翌日の攻撃目標はテヘラン近郊の核開発施設。こちらも F-16I 1個中隊が飛来します。イラン側は兵力のそろわぬ往路の迎撃を断念。さらに長距離SAM(S-200)の攻撃を難なくかわした攻撃隊は、再び対空砲の射程外からGPS誘導爆弾を投下します。しかしここで思わぬ活躍を見せたのが、同地に配備されていた SA-15 部隊。短射程ながら PGM 迎撃能力を持つ同部隊は、飛来する爆弾を次々と撃墜。8発中7発の撃墜に成功し、残る1発も施設の分厚い隔壁を貫通できず、外壁に傷をつけただけに終わります。これに気を良くしたイラン側は、復路の接敵に成功した MiG-29 4機、F-5E 2機の戦闘機隊に交戦を指示。しかし投弾を終えた F-16 中隊にこの程度の部隊で挑むのはやはり無謀で、再び視界外からのアムラーム攻撃でイラン側戦闘機隊は全滅します。MiG-29 すら交戦距離に到達できないのかと、イラン側は頭を抱えます。

対するイラン側は、イスラエルへのテロと弾道ミサイル攻撃で反撃。ホルムズ海峡封鎖という選択肢もあったのですが、あまりの半丁博打ぶりに今回は実施を断念しました。

最初のテロ攻撃は、その卑劣な手口にイラン国内でも現政権に対する非難が沸騰(バックファイア発生)。国内情勢にも悪影響を及ぼします。続く2度目のテロ攻撃は、無難に成功したものの国際世論はまったく動かず、2度のテロ攻撃は骨折り損に終わります。

さらにイラン側は、4個大隊合計16基のシャハブ3 中距離弾道ミサイルによるイスラエル航空基地のへの攻撃をプロット。この期に及んで都市部でなく軍事施設を狙うあたり、覚悟の足りないイランです。結果は13発が発射に成功したものの、うち11発をアロー2と PAC3 があっさりと撃墜。残る2発のうち1発が辛うじて飛行場の敷地内に落下したものの、施設に何ら損害を与えることなく終了しました。当然国際世論も動かず、BMD システムの効果を実証しただけに終わりました。

 

といったところで今回のプレイは終了。問題の整備判定を除けばプレイは軽快で、1週間のシナリオも1日でプレイできそうな感触です。ユニークな外交パートと実力行使のメリハリも効いており、簡易整備ルールをでっち上げて通しでプレイしてみたいゲームです。

|

« 東国争乱:YSGA 06/18 | トップページ | アークキング&営業管理: GCS 06/25,26 »

GCS」カテゴリの記事

Persian Incursion」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Persian Incursion : GCS 06/26:

« 東国争乱:YSGA 06/18 | トップページ | アークキング&営業管理: GCS 06/25,26 »