« Goza de Candia : GCS 2012/02/19 | トップページ | Inside the Armor : YSGA 2012/02/26 »

Warsaw Rising : YSGA 2012/02/26

今月の YSGA では、idioten 氏との突発末期戦企画で Warsaw Rising をプレイ。
魅力的なテーマなれど長らくお蔵入りされていた本作について、同氏提案の調整ルールを適用した再生検証プレイを実施しました。

Warsaw Rising: Revolt of the Polish Underground, 1944 - S&T#107()

四半世紀前(1986)の Strategy & Tactics 107号付録。大御所 John Prados デザインの1944年のワルシャワ蜂起の市街戦を扱ったウォーゲーム。Kevin Zucker デザインの印象的な地図盤が TACTICS 誌のカラーページを飾ったこともありますので、ゲーム自体はご存じの方も多いはず。とはいえ内容についての情報はほとんど見かけないため、この機会に紹介しておきます。

ゲームスケールは1ターン1週間で全8ターン。2ヶ月にわたるキャンペーン、および前後半各4ターンのショートシナリオが用意されています。ユニットは中隊~大隊規模で、1ヘクス150m。歩兵部隊でも2ヘクスの射程を持ち、射撃と近接戦闘の2種類の戦闘が可能。加えてユニットには戦闘モードと移動モードが存在するという、非常に戦術色の強いシステムです。

ユニットもゲシュタポを含む警察署・警官隊から、親衛隊カミンスキー旅団やら装甲列車、果ては盤外砲撃用カウンターとしてカール自走臼砲まで登場。ポーランド側も脱力カウンターで知られた非武装民兵から、党派別に分かれた実働部隊まで多彩なユニットが登場。ちなみにポーランド軍は、毎ターンの空中投下や近接戦闘で相手に与えた損害に応じて武器ポイントを獲得。このポイントを消費して蜂起部隊のアップグレードを実施してゆく成長システムが取り入れられています。

といった多彩なユニットと凝ったシステムで、末期戦・最貧部隊マニアのプレイ意欲をかき立てる本作ですが、残念ながらオリジナルのゲーム展開は非常に不満の残るものでした。支援部隊を持たない以外、独軍部隊と遜色のないレーティングのポーランド軍が、第1ターンの奇襲効果で盤上の独軍を掃討。大量のVPと武器ポイントを獲得し、二線級の独軍相手に終始優勢な戦いを続けるという有様で、「蜂起は最初の数日で敗北だった」とされるワルシャワ蜂起の悲壮感は皆無でした。

また戦闘結果が一風変わっており、結果は攻撃側・防御側に対する数値で与えられています。普通のウォーゲームならこれが除去ステップ数や退却ヘクス数なのですが、本作ではこれが「戦闘で獲得できたVP値」となります(結果が大きければ退却・ユニット除去の効果が追加)。この「戦闘結果からVPが得られる」というのが曲者で、最低コラムで一般的な市街地を攻撃した場合でも1VPが発生する可能性があります。となれば攻撃側に損害の発生しない射撃戦闘を片っ端から実施しない手はありません。こうした作業的な射撃戦闘の徒労感もまた、本ゲームの残念な点です。

St107_warsaw_rising_2012022603a

そんなわけで私の周辺では「一見面白そうなんだけど、非常に残念なゲーム」というのが大方の評価。かくいうN村も、15年ほど前に入手した際に数回プレイし「これはちょっと違うんじゃないの?」とお蔵入りとなっていました。今回はこの埋もれた残念作品を蘇らせるべく、末期戦マニア idioten氏提案の「ポーランド軍戦力変動ルール」を導入。ポーランド軍圧勝のバランス調整を目論んでのプレイとなります。

実際のプレイ結果ですが、蜂起したポーランド軍(idioten氏)は Vistula 河をまたぐ東西交通線を遮断し、市内の発電所、上水場、ガス局の各重要拠点を制圧。対してポーランド軍の戦闘力が抑えられた結果、独軍初期配置部隊への直接的な損害は許容範囲に。市街北部の Citadel に据えた砲兵陣地、中央部の独軍司令部・警察本庁街、南部ゲシュタポ本部の3カ所にポケットを形成し、鎮圧部隊の到着に望みを託します。懸念された序盤の得点も、ポーランド側が若干リードした程度に抑えられます。

St107_warsaw_rising_2012022608a

五月雨式に到着した独軍鎮圧部隊は、市街南部の鉄道沿いに一旦集結すると、戦線を形成しながらじわじわと前進を開始。装甲部隊を前に立て、ガス局と水道局に立てこもるポーランド軍を掃討。中央駅まで順次進出します。また独軍による東西連絡線の打通をおそれたポーランド軍は、なけなしの武器ポイントを消費して Vistula 河の橋を次々と爆破。独軍の気勢を制します。

St107_warsaw_rising_2012022619a

線路沿いに中央駅に到達した独軍は、ここから市街を北上して司令部・警察本庁ポケットと連絡することに成功。余勢を駆って各地でポーランド軍の逆包囲を進めます。こうして市街の掃討が開始されたところで、前半ショートシナリオ Warsaw Rises! 相当の4ターンが終了。今回はここでプレイ終了としました。プレイ時間は6時間強というところ。1ターン2インパルスかつ、前述の「戦闘VP」問題から、ターン数の割に時間を要するゲームです。

懸案のVP獲得状況は、終盤にポーランド軍スタックを相次いで掃討した独軍が1.5倍の得点を獲得する圧勝で、少々下駄を履かせすぎたかという結果に。とはいえ市街で孤立した独軍・警察部隊を救出し、ポーランド軍を分断して掃討するという展開の再現に成功したのは好感触。あとは下駄の調整次第でなんとかなるかな、という印象です。色々とネガティブな事を書いておいてなんですが、人柱志願者はお問い合わせください。

|

« Goza de Candia : GCS 2012/02/19 | トップページ | Inside the Armor : YSGA 2012/02/26 »

YSGA」カテゴリの記事

S&T107 Warsaw Rising」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Warsaw Rising : YSGA 2012/02/26:

« Goza de Candia : GCS 2012/02/19 | トップページ | Inside the Armor : YSGA 2012/02/26 »