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High Frontier Colonization : レビュー編

今や地球軌道上のスペースコロニー群では、数百人もの専門家たちが活動するに至った。これら施設からは、反物質の製造、太陽エネルギー送信、サイクラー衛星、宇宙製薬、射出軌道上の磁気浮上バス、そしてもちろん税務所など、さまざまなサービスが提供されていた。バナール型コロニー、植民者、輸送船、そしてギガワット級スラスターなどの新たなモジュールは、あなたの拠点を宇宙開発の最前線へと前進させることを可能とする。またこれらのカードを発展させることは、「未来」と呼ばれる新たな勝利条件を達成することにも繋がるのである。
- High Frontier Colonization: 14.0 INTRODUCTION to the 2nd ed.

High Frontier Colonization - Sierra Madre Games()

長らく品切れ状態だったHigh Frontier Expansionのコンポーネント(サポートカード&木星~土星マップ)に加え、新たなColonization gameのプレイに必要な天王星以遠のマップ、モジュールデッキ、トークンを収録した拡張セット。High Frontierシリーズ中の位置付けとしては絶版のExpansion(2010)の上位互換版となり、Expansion gameおよび新設定のColonization gameの双方がプレイ可能です。

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◆Colonization game

そして新たに登場したColonization gameは、Expanded gameに続く時代の外惑星系開発をテーマとした拡張ゲームです。追加のモジュールカード4種を使用し、Expanded gameからルールも倍増(Colonizationパートのみで英文11p)。明らかに前作をプレイしつくしたマニア向けという位置づけで、High Frontierが合わなかった人には一切お勧めできません。しかし旧ゲーム終盤に「黒カードを1,2枚開発したら、活用する前にゲームが終わってしまう!」と不満を抱いた方には、お待たせしました、という方向での拡張ゲームとなります。

問題のゲームの内容ですが、今回のゲームにはNASAや清水建設といった各プレイヤーの担当派閥だけではなく、企業、研究機関から宗教団体まで、さまざまな専門家集団が登場します。各派閥はこれらスペシャリストの協力をとりつけ、新世代のロケット技術を駆使して外惑星系を開発し、新たな勝利条件「未来」Futureの達成を目論むことになります。

前作のBasic/Expanded gameは谷甲州「軌道傭兵」と「航空宇宙軍史」の狭間の時代といった雰囲気でした。対して今回のColonization gameでは多彩な植民者集団が交錯し、小川一水「天冥の標」かTRPG「Eclipse Phase」といったイメージです。

また残念ながらColonization gameとExpanded gameとの連結ルールはありませんが、世代宇宙船による恒星間植民を扱ったソリティア、High Frontier Interstellarとの連結は可能です。この場合はColonization gameで確保した技術とクルーを用い、恒星間探査に出発することになります。


◆新モジュール

新たに登場したモジュールカードは以下の4種類です。それぞれ個別に、または組み合わせてプレイに使用することができます。

輸送船Freighter: 旧来の輸送船の上位互換版としてET工場で建造され、それぞれ固有の積載能力や巡航性能が設定されたモジュール。複数のカードを積載し、ホーマン軌道遷移能力を駆使して天体間を高速で巡航します。天王星以遠の拠点との連絡には必須とも言えるカードです。

ギガワット級スラスターGW thruster: これまでのスラスター(MW級)とは隔絶したスラスター性能を持つモジュール。それぞれズブリン機関に匹敵する性能を持ち、旧ゲームでは実質的に到達不可能と思われた天王星以遠への航海が可能となります。ただし推進剤として指定のアイソトープ推進剤を充填しなければならず、WTが利用できないため運用には注意が必要です。ちなみに裏面はさらに強力な「テラワット級スラスター」となり、恒星間航行にも使用されます。

植民者Colonist: テストパイロットから採鉱者組合まで、宇宙で活動する専門家集団。旧来の乗員カードに、専門分野による追加のオペレーション能力を追加したイメージです。さらに植民者ごとに派閥能力に匹敵する特殊ルールが設定されており、この活用がColonization gameの戦略を左右する重要な要素となっています。また植民者にはET工場生産で製造されるロボット植民者も存在しており、こちらは強化されたロボノーツといった扱いです。

バナールBernal: 各派閥に1枚ずつ与えられたスペースコロニー。初期配置では地球-月の各ラグランジュ点に配置されており、打ち上げオペレーション行き先はLEOからこのバナールを目標とするルールに変更されています。この打ち上げ軌道の底上げにより、序盤の難易度は大きく緩和されました。また裏面の発展状態となると、レゴリス推進剤を投射するマスドライバー推進での自力航行が可能。外宇宙探査の拠点として利用できるようになります。またバナールがアクセスできる水資源に応じて、プレイヤーごとに保有できる植民者数が増加します。


◆「未来」とゲームの流れ

これらの新モジュールの中には、発展面に固有のボーナスVPフラグ「未来」Futureが設定されているカードが存在しています。これは「彗星にスラスターを設置して地球に落下させ、地球人類を粛正する」から「土星と天王星の大気中に工場を設置し、ダイダロス計画用のヘリウム燃料を製造する」「天王星軌道と冥王星軌道に恒星間ビーム推進用の集束レンズを配置する」まで、SF者ならニヤリとする設定が用意されています。ゲーム上の機能としては、工場建設を上回るVPが獲得できるほか、指定数の「未来」が達成されたところでゲーム終了となります。

ボーナスVP獲得を目論み、これら「未来」に着手するためには、指定の新モジュールを裏面(紫面)に「発展」promoteさせておくことが必要です。そしてこれを実施するためには、該当カードを「研究所」Labに持ち込み、発展オペレーションを実施しなければなりません。これに用いられる研究所は、新たに指定された「TNO学術天体」Trans-Neptunian Objects science siteに工場を設置することにより建設されます。その名の通り、TNO学術天体は海王星以遠にしか存在しませんので、まずはこれらに到達可能な輸送船やギガワット級スラスターの開発が必須となります。

というわけで、序盤は旧来のMW級スラスターでも到達可能な近隣の資源を開発し、強化された宇宙機で深宇宙を開発。研究所を設置して「未来」の達成を目指す、というのがColonization game全体の流れとなります。旧ゲームでは最初の工場を設置するまでが一つの山で、その後のゲームは急加速する展開したが、Colonization gameではこの「研究所」の設置前後でゲーム展開が急変します。

また外惑星系までのゲームとなったにも関わらず、植民者による複数回オペレーションを前提とし、カードの売却価格と収入がそれぞれ底上げされているため、ゲームのスピードは格段に速くなっています。特にET工場での生産物指定が緩和されているため、ひとつでも工場を建設できれば複数の黒カードを駆使したプレイが可能です。

プレイ時間については、今回の初プレイでは終了まで丸1日(7時間強)を要しました。しかし旧Expanded gameも当初の丸一日で終わるのか?という状態から、現在では3-5時間(人数×時間程度)に収まりましたので、本作も戦略が周知されれば同程度に収まるのではないかと期待しています。

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オマケの写真はヘリオポーズに到達したボイジャー1号さん。盤端のセドナまではまだ長い道のりです。

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