« High Frontier, Basic game 戦略ガイド | トップページ | YSGA忘年会 : 2013/12/22 »

High Frontier, Basic game サイト工業化のミッション例

以下の文書は、High Frontier, Basic gameを想定し、手持ちのカードの組み合わせから、探査・工業化が可能な目標を選択し、実際に工場をET建設するまでのプレイ例です。

個人的にはHigh Frontierでは「僕の考えた最強の探査機」のパテントを集めている間に、入手できたカードでさっさと探査機を組み立てて発進させるべき、というのが持論です。では最悪のカードの組み合わせでは、どんな目標が狙えるのか、そもそも探査や工場建設が可能なのか、というところをシミュレートしてみました。

実際のところ、例に挙げた組み合わせでは、火星が利用できない場合はISRU推進剤補充を駆使する必要があり、初心者には荷が重い構成でした。改めて検討すると、サポートもスリングショットもないBasicはキツイですね。

◆High Frontier, Basic game サイト工業化のミッション例

Basic gameのルールとマップ(第2版基本セット収録)を使用し、ロボノーツがFlywheel Tractor(ISRU3, 重量2), スラスターがCemet NERVA (7/4-AB1, 重量2)、リファイナリーがMagma Electrolysis(重量4)という、かなり残念な構成の手札を想定してみます。バギーかつ大推力であることが長所となりますが、ISRU値はロボノーツ中最低クラス、スラスターの燃費は化学ロケットよりはマシ、といったところでです。リファイナリーも重量4の重いタイプです。

Hf_2013121801a

※初版と第2版は、地球近傍の航路が若干異なります。また最新Poster-Map(Apr2013)は、火星にNorth Poleへパラシュート航路が追加されています。Poster-Mapをお持ちのベテランはスルーして、最新の第2版マップを基準に話を進めます。


◆探査目標の検討

まずロボノーツのISRU値から、探査可能な水資源値(水滴数)を確認します。Flywheel Tractor はISRU3ですので、これ以上となる水資源3-4のサイトが候補となります。

具体的には水星Mercury(水資源[3])、Phaethon[4], Deimos[3], 火星Marsの地表3箇所[3/4/4], Olijato[3], Hertha[3], Karin B[3], Eichsfeldia[3], Ceres[4], Minerva[3], Comet Borrelly[4], Comet Encke[4], Aneas[3], Glaukos[3], Laocoon[3], Menoetius[4], Patroclus[3]の19サイトが候補地です。月と金星を除く比較的大型の天体と、彗星、トロヤ群の小惑星が中心となります。

次にスラスターの推力から、着陸可能なサイトを確認します。着陸はNERVAの大推力(推力7+湿重量補正1+AB1=9)のおかげで、彗星(サイズ1)と小惑星(サイズ6以下)であれば問題ありません。火星(サイズ10)については、North Poleを除き大気制動(パラシュート経路)で着陸することができます。問題は水星(サイズ10)で、スラスターの推力も不足し、大気制動も利用できないため着陸船推進剤10ステップが必要となります。

最後にスラスターの燃費と搭載可能な推進剤量から、ロケットが到達可能な範囲(≒推進剤が切れるまでに侵入できる噴射点の数)を確認します。ロボノーツとリファイナリーを一気に輸送する場合、合計乾燥重量は2+2+4=8。この乾燥重量で搭載可能な推進剤は、8タンク11ステップ分。11ステップ÷4燃費から、噴射回数は2回まで。従ってLEOから2噴射以内のサイトが到達範囲となります。前述の対象サイトのうち、2噴射でたどり着けるのはサイズ1のDeimosのみ(バギー使用でも探査成功率1/4)。準備に費やす時間を考慮すると、これは失敗すると目も当てられません。


◆二段階ミッション

探査対象の選択肢を広げるため、ロボノーツとリファイナリーを別々に輸送する場合を考えてみます。最初にロボノーツを搭載した探査ロケットで探査ミッションを実施し、2回目のミッションで工業化に必要なリファイナリーを輸送するプランです。この場合たどり着けるサイトは、より重いリファイナリー輸送ロケットに依存しますので、こちらを基準に到達範囲を計算してみます。この輸送ロケットの合計乾燥重量は2+4=6。この乾燥重量で搭載可能な推進剤は、8タンク14ステップ分です。従ってLEOから3噴射以内のサイトが到達範囲となります。

前述の対象サイトのうち、3噴射以内で到達できるのは以下の5サイトです[資源・サイズ/水/必要噴射数]:Deimos[D1/3/2], 火星MarsのArsia Mons Caves[C10/3/3]とHellas Basin Buried Glaciers[C10/4/3], Olijato[M1/3/3], Karin B[S1/3/3]。このうち火星は、着陸のために大気制動のロールが必要です(1/6で失敗)。またKarin B, Olijatoの手前には、それぞれハザード地帯が存在しています(1/6で失敗)。

今後の展開を考慮すると、手持ちのロボノーツ[M]かスラスター[S]を黒カードに強化できるM/S型サイトを狙いたいところです。しかしいずれもサイズ1(バギー探査成功率1/4)かつハザード付の小惑星のみ。従って確実に探査に成功する火星を狙うか、小惑星のダイスロールに賭けるか、という事になります。

テクニカルな作戦としては、ロボノーツとリファイナリーを搭載した重量級のロケットでひとまずDeimosに到達し、ここで推進剤を補充して火星に降下する(または他の天体を目指す)という選択肢もあります。ただしこのプランでは、火星の地表に降下して領有権を確定するまで、最短でも10ターンが必要です。

探査が容易な火星は、対戦プレイでは時間をかけると他のプレイヤーに先を越される可能性が高いでしょう。ここでは他のプレイヤーが悩んでいる間に最短で火星に探査機を降下させ、確実に火星地表を確保する作戦を試みます。他のプレイヤーに先を越された場合は、リスクの高いDimos, Karin B, Olijatoに目標を変更することとします。

火星地表の目標としては、無用のリスクを避けるため、大気制動に加えて余分なハザード地帯が存在するHellas Basin Buried Glaciersは却下します。従って最初の目標としてはArsia Mons Cavesに降下し、ここを起点にNorth PoleとHellas Basinもまとめてバギー探査を実施。最初の工場は降下したArsia Mons Cavesに建設する作戦とします。

参考までに、落選した各サイトまでの噴射数は以下の通りです: Hertha[M3/3/4], Eichsfeldia[C4/3/4], Ceres[C6/4/4], Minerva[C3/3/4], Lutetia[M3/3/4], Glaukos[1C/3/4], Laocoon[1D/3/4], Phaethon[D1/4/5], Comet Borrelly[D1/4/5], Comet Encke[V1/4/5], 火星North Pole[C10/4/5], Aneas[2D/3/5], Menoetius[2C/3/5], Patroclus[2D/3/5], 水星Mercury[V10/3/7]. 4回の噴射が可能であれば、大幅に選択肢が広がることがわかります。

また「ISRU推進剤補充OPで推進剤を補充できるから、面倒な推進剤計算は無視」と、目的地を決めず推進剤も計算せずに出発するプレイヤーを見かけますが、補充可能なサイトは探査可能なサイトと同じ条件です。探査できないサイト(ISRU値が足りない、着陸できない、到達できない)で補給することはできませんので注意してください。

以上を踏まえて、火星の工業化ミッションを開始します。前述の輸送能力の関係で、ミッションは探査と工場建設の2段階ミッションとなります。


◆サブミッションA:火星探査ミッション

目的: 火星地表の資源の有無を確認する。
手段: 火星地表のArsia Mons Cavesにロボノーツを輸送し、ここを起点にバギー探査OPを実施する。
手札: Flywheel Tractor型ロボノーツ、Cemet Nerva型スラスター、Magma Electrolysis型リファイナリー
資金: 0WT

1-2年目: 収入OPにより、各ターンに2WTずつ打ち上げ費用を蓄積します。

3年目: 打ち上げOPにより、手札の2枚のカード(合計重量4)をLEOに打ち上げます(費用4WT)。同時にこの2枚をロケットスタック・スロットに配置し、ロケットスタックを作成しておきます。※ロケットは出発直前に組み立てても問題ありませんが、早めに計画を宣言しておくと目的地のバッティングが避けられます。

4-5年目: 収入OPにより、推進剤に必要な4WTを蓄積します。5年目の収入OPを実施し、4WTが蓄積できたら、フリーアクションのLEO推進剤補充を実施します。4WTすべてを使用し、ロケットダイアグラム上の乾燥重量4の行に、4タンク分(12ステップ)の推進剤を補充します。

5年目(移動): 必要な推進剤が補充できましたので、ロケットを発進させます。まずこのターンの正味推力を確認します。現在の湿重量はTransport Class[-1]ですので、正味推力はCemet Nerva型スラスターの推力7-1=6(TMP)となります。LEOを出発したロケットは次のHEOに進入し、1TMPと推進剤4ステップ(≒燃費値)を消費します(残り5TMP/8ステップ)。次に火星行きの赤い道票に従い、HEOを右折して地球放射線ハザード(Basic gameでは無視)を通過し、GEOに進入して同様に1TMPと推進剤4ステップを消費(残り4TMP/4ステップ)。次に噴射点ではない太陽-地球ラグランジュ点Sol-Earth LagrangeのL2を経由し(噴射点ではないので進入コスト不要)、赤の道票が鋭角にコースを変更する交差点で停止します。ここを強引にピボット機動で通過するには、2TMPと2回分の噴射(NERVAの場合は推進剤8ステップ!)が必要ですが、一旦停止することによりこの推進剤消費を避けることができます。

6年目(移動): 前ターンに推進剤を消費したことにより湿重量が変動しましたので、このターンの正味推力を再計算します。推進剤4ステップを残した現在の湿重量はScout Class[0]ですので、正味推力は7+0=7(TMP)に向上しています。ホーマン遷移軌道を出発したロケットは、太陽-火星ラグランジュ点Sol-Earth LagrangeのL2を経由し、火星衛星間の三角噴射点に進入(残り6TMP/0ステップ)。これですべての推進剤を使い切りましたが、慣性航行のルールによりロケットは移動を継続します。ここからロケットは大気制動コースで火星地表のArsia Mons Cavesに降下。大気制動ハザードのロールを実施します。1d6で1が出るとロケットが破壊されるところですが、ここは着陸に成功したものとして話を進めます。もう少し時間に余裕があれば、2ターンかけて「失敗という選択肢はない」オプションのための4WTを蓄積し、ロールを回避することも可能です。また移動中に三角噴射点に1箇所進入しましたので、フリーアクションとして1回のエクストロフィーを実施することができます。

6年目(探査): Arsia Mons Cavesに着陸した探査ロケットにより、探査OPを実施します。Flywheel Tractor型ロボノーツはバギー型であるため、1回の探査OPにより黄色点線でつながれた全サイトを目標とすることが可能です。ISRU3の値は3箇所すべての水資源値以下ですので、探査条件も問題なし。またいずれもサイズ6を越えているため、1d6のロールも不要で3箇所すべてに領有権ディスクが配置されます。

火星の資源を独占できましたので、次のミッションとしてET工場の建設を実施します。


◆サブミッションB:火星工業化ミッション

目的: 火星地表のArsia Mons CavesにC資源ET工場を建設する。
手段: Arsia Mons Cavesにロボノーツ(輸送済)とリファイナリーを輸送し、工業化OPを実施する。
手札: Magma Electrolysis型リファイナリー
スタック: Arsia Mons Caves にロケットスタック(Flywheel Tractor型ロボノーツ、Cemet Nerva型スラスター)
資金: 0WT

6年目(探査OP後のフリーアクション): 役目を終えたロケットスタックを解体します。ロボノーツはアウトポストスタックへ保管し、Arsia Mons Cavesにこれを表す黄色ディスクを配置します。スラスターは破棄し、手札へと戻します。

ちなみにNERVAスラスターを自力帰還させる場合、推進剤利用離陸のための10ステップ、さらに帰路の噴射3回分(地球の大気制動を使用)の合わせて22ステップの推進剤が必要となります。これはスラスター単独(乾燥重量2)であればギリギリ搭載可能な値(8タンク分)ではありますが、最短でも4ターンにわたるISRU推進剤補充が必要となります(バギー移動により水資源の多いHellas Basin Buried Glaciersに移動し、2W/1TのISRU補充を実施)。さらに別途リファイナリーの打ち上げ費用を確保して、LEOに打ち上げるにはさらに3ターンが必要です。対して破棄したスラスターと、手札のリファイナリーを併せて打ち上げるのに必要な時間は4ターンです。このようにISRU活動による現地補充は非常に手間がかかりますので、慣れないうちは現地補充を前提としない計画を立てることをお勧めします。

7-9年目: 収入OPにより、毎ターン2WTずつ打ち上げ費用を蓄積します。

10年目: 打ち上げOPにより、手札の2枚のカード(合計重量6)をLEOに打ち上げます(費用6WT)。同時にこの2枚でロケットスタックを作成しておきます。

11-14年目:推進剤に必要な7WTを蓄積します。14年目の収入OPを実施し、8WTが蓄積できたら、フリーアクションのLEO推進剤補充を実施します。7WTを使用し、ロケットダイアグラム上の乾燥重量6の行に、7タンク分(12ステップ)の推進剤を補充します。

14年目(移動):ロケットを発進させます。現在の湿重量はTag Class[-2]ですので、正味推力は7-2=5(TMP)となります。前回同様にLEO→HEO→GEO→L2→交差点と移動し、2TMPと2回分8ステップの推進剤を噴射して移動を終了します。

15年目(移動): このターンの正味推力は7-1=6(TMP)。引き続き前回の航路をたどり、ホーマン遷移軌道→L2→三角噴射点→大気制動→Arsia Mons Cavesのルートで火星に降下します。大気制動ハザードと、エクストロフィーの実施を忘れずに。今回も降下に無事成功したものとして話を進めます。

15年目(工業化OP): Arsia Mons Cavesにロボノーツとリファイナリーが揃いましたので、工業化OPを実施します。両カードを手札に戻し、Arsiaの領有権ディスク上にET工場を表す小キューブを配置します。さらに資源探査トラックのC資源のディスクを、1段階下に移動させます。ミッション達成です。

続くミッションとしては、見送ったKarin B, Olijatoの探査はもちろん、火星への追加の工場建設、C型カードを入手しての新型探査機の開発、などが考えられます。

|

« High Frontier, Basic game 戦略ガイド | トップページ | YSGA忘年会 : 2013/12/22 »

High Frontier」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: High Frontier, Basic game サイト工業化のミッション例:

« High Frontier, Basic game 戦略ガイド | トップページ | YSGA忘年会 : 2013/12/22 »