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Hell’s Highway : GCS 2014/08/23,24

坂戸の今月のメインゲームは、Foreigner氏とのHighway to the Reichの練習プレイ。

Highway to the Reich – SPI()

Foreigner氏提供。マーケットガーデン作戦ビックゲームの代表作。600mヘクス/中隊(歩兵)・小隊(戦車)ユニット/2時間ターンでマーケットガーデン作戦全体をプレイするモンスターゲーム。最近リメイクされたDecision Games版ではなく、オリジナルのSPI版です。テーマ、スケールはThe Devil's Cauldron(MMP)とほぼ同様、というかHttRが大先輩です。

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本作の特徴となるのが、独特の戦闘システムと隊形のルールです。本作のユニットは、よくある「移動力-戦闘力」ではなく、兵員・装備の数を表し耐久力でもある「戦力」、装備の優劣を表した「戦闘値」(重戦車は高く、軽歩兵が低い)、部隊の「士気」の3種の値が記載されています。戦闘方法は隣接ヘクス以遠への「射撃」と、敵ヘクスへ突入しての「白兵戦」の2種類。ただし射程があるのは砲兵と重火器(迫撃砲・対戦車砲)のみですので、もっぱら敵に隣接しての射撃戦が戦われます。また移動力は全ユニット共通で、兵科と隊形により地形による移動コストが変動するシステムです。

これらを用いた戦闘の判定は、次のように実施されます。まずユニット単位で実施される「射撃」の場合、射撃を実施するユニットの「戦力」と「戦闘値」を「射撃値表」に当てはめ、実際に発揮できる「火力」が求められます。続いてこの火力を「射撃結果表」の地形コラムに当てはめ、ロールを実施して結果を判定します。この射撃結果は、「戦力」のステップロスと、「散開」(「散開隊形」への強制変換)のみというシンプルなもの。そしてここでポイントとなるのが、目標ユニットのとっている「隊形」です。

ユニットの基本的な隊形は「密集隊形」と「散開隊形」の2種類。このうち「密集隊形」はユニットの額面通りの能力を使用でき、道路移動も可能で柔軟に移動できますが、一切の地形効果を受けることができません。対する「散開隊形」は地形効果を受けることができますが、「戦闘値」が低下し、移動コストが高く設定されています。このようにユニットの隊形は、火力をとるか防御力をとるか、トレードオフの関係となっています。また砲兵や機械化部隊は、牽引状態や車両移動を表す「行軍隊形」をとることも可能です。

さらにスタック単位で実施される白兵戦においては、スタックの一番上のユニットの「戦闘値」「士気」、およびスタック内全ユニットの「戦力」比が比較されます。「戦闘値」「士気」それぞれの差は、いずれも「戦力」比のシフトに匹敵する効果を持ちますので、単純に「戦力」を集めるだけではなく、多くの能力での優位を確保することが極めて重要です。

こうした能力値と隊形のルールから、本ゲームにおける典型的な陣地攻撃は次のように進展します。まず射程のある砲兵や重火器の射撃により、防御側ユニットの「散開」を強要し、「戦闘値」を低下させることを狙います。敵も同様の効果を狙ってきますので、敵の重火器は最優先の目標となります。こうして防御側を制圧し、火力が鈍ったところで密集隊形の攻撃部隊スタックが前進。必要であれば隣接ヘクスからの直接射撃により、敵ユニットの「戦力」削減を図ります。こうして「戦闘値」と「戦力」の優位を達成したところで、白兵戦に突入。この際、「戦闘値」は高いが「戦力」は低い装甲部隊をスタックの上に配置してこの「戦闘値」を使用し、不足する「戦力」を補う歩兵部隊を随伴できれば理想的です。

このように、本作では制圧状態や諸兵科連合効果に関して、特別なルールが設定されているわけではありません。しかし戦闘や隊形のルールを適切に運用することにより、自然にこうした効果が発揮されるようにデザインされています。

また複数の表で様々な能力値を参照する戦闘手順は難しく見えますが、各表ではふたつの値をクロスするだけ。余計な修正値が存在しないため、個々の判定は案外スムーズです。とはいえ1ユニット単位の射撃戦が中心となりますので、スタックした戦線がぶつかり合うと、射撃フェイズ(1ターン最大3回)は大変な作業になります。今回は両軍とも1個師団弱が登場する導入シナリオのプレイでしたが、これだけでも十分なボリュームでした。第1空挺師団の市街戦は大変そうです。


Hell’s Highway

というわけで、今回はシステムの練習のため、第107戦車旅団のVehgelへの攻撃を扱った”Hell’s Highway”シナリオを土日で2回にわたりプレイ。N村は2戦とも連合軍を担当しました。

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土曜日の1戦目は、兵科ごとのスタックで前進してきた独軍が、第2ターンまでにVehgelに隣接。ここで歩兵のみ、戦車のみのスタックではまともな白兵戦のオッズが立たないことが判明し、セオリーを把握したところで一旦終了。プレイ時間は4時間弱。

ちなみにシナリオの説明には「プレイ時間2時間半」との記述がありましたが、「なに寝言いってるんだ」というのが両プレイヤーの感想です(笑)。

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続く日曜日の第2戦。今度の独軍はVehgel郊外に一旦集結し、戦車小隊と歩兵中隊を組み合わせた中隊戦闘団スタックを多数編成。諸兵科連合でVehgel市街に押し寄せます。しかし戦車の性能と数で圧倒する独軍も、歩兵戦力では互角、士気では米軍空挺歩兵に劣るため、突撃に踏み切る決定打には欠ける状況。仕方なく各戦闘団を市街にベタ付けし、戦車の車列による戦力削りを試みます。

対する連合軍は、優勢な重火器中隊と砲兵を切り札に、独軍支援火器を狙い撃ち。これを片付けると目標を歩兵に切り替え、随伴歩兵を削りに削ります。また東部に迂回したグライダー歩兵と英軍戦車の混成チームが、独軍増援の降下猟兵を牽制。これにより前線の独軍歩兵戦力が枯渇し、第4ターンで独軍後退、ひとまず投了となりました。プレイ時間は4時間弱。

今回は2戦とも市街攻略を試したため、早期に独軍が息切れする結果となりましたが、シナリオ自体は2日間にわたる長期戦で、必ずしもVhegelを攻略する必要はありません。ハイウェイ遮断による判定勝ちを狙えば、独軍にも勝機はありそうです。

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コメント

蛇足:
今回プレイしたシナリオは24章のイントロダクションシナリオで9月22,23日の
フェーヘルの戦い(シナリオ名:Hell's Highway)になります。
このシナリオでは第2ターンに増援としてII/9の戦車中隊数個が地図西端
から侵入する事になっています。(英文ルールにも記述されています)
しかし、これは誤りの様です。そのため、日曜日のプレイではII/9の戦車中隊
は登場していません。

判断の基準は以下のゲームを参考にしました。
Highway to the Reich (Decision Games)
Screaming Eagles in Holand (The Gamers)
Where Eagles Dare (Multiman Publishing)
特にDG社のHighway to the Reichは本ゲームのリメイク作品で有り、
全く同じシナリオがあるのですが、そちらでは増援スケジュールに
II/9戦車隊は有りませんでした。
Screaming Eagles in Holandはこのシナリオのフェーヘルの戦いを扱った
戦術級ゲームで、こちらではII/9戦車隊に該当する部隊は存在しません。

また、英文書籍のIt Never Snow in Septemberにはこのフェーヘルの戦い
でのドイツ軍の編成表が記述されています。
(http://www.amazon.co.jp/dp/B005JZ6T3I)
こちらにもII/9戦車隊と思しき部隊は存在しませんでした。

その為、日曜日のプレイではII/9戦車隊は一切登場しないものとしてプレイしました。

投稿: Forger | 2014年8月26日 (火) 08時20分

このへんの情報がさらっと出てきたあたり、さすがです。
比較調査とフォロー、ありがとうございました。

投稿: N村 | 2014年8月26日 (火) 18時48分

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