Sea Devils : GCS 2016/06/26
続く日曜日は、こちらも長らく塩漬けとなっていた20年物のゲームをプレイ。
Sea Devils: The American Civil War on the High Seas - S&T#191,194(→)
南北戦争における東西両半球にまたがる通商破壊戦を、1隻・3ヶ月のスケールでプレイする海軍戦略ゲーム。南北戦争の海軍作戦ゲームとしては、主戦場の北米大陸の水陸作戦を扱ったRebel Raiders on the High Seas(GMT)がありますが、地球規模のキャンペーンゲームとしてはおそらく唯一の作品です。
しかしS&T誌191号で初登場した時点では、コンポーネントとルール双方の不備からゲームにならず、改訂版が194号で再び付録になったという、いくらルーズなS&Tでもそれはないだろうという不名誉な記録を持つゲームでもあります。マイナーテーマかつこうした事情から、レビューもほとんどなく、Grognard.comと下記の「bqsfgameの日記」しか発見できませんでした。
bqsfgameの日記「シーデビルズのルールを読む」(→)
bqsfgameの日記「千葉会:シーデビルを対戦プレイする」(→)
システムは上記で詳しく説明されているため詳細は省きますが、数の少ない通商破壊側(南軍)が移動をプロットしたのち、護衛側(北軍)がノンプロットで移動を実施し、その後に通商破壊側がプロットを公開するという、「はるかな海へ」(TAC#49)の簡易版とも言えるもの。これで各ユニットの移動力は10前後。接敵した際の発見率は、哨戒艦1隻あたりわずかに1/12。これでは広大なマップ上で接敵するのは不可能に思えますが、ポイントは南軍にのみ設定された給炭とリフィットのルールにあります。
1ターンの扱う期間が長いため、本ゲームの通商破壊艦はありがちな「xターンに1回の補給」どころではなく、「1ターンに2-3回の寄港」が求められます。このため移動力自体は大きなものの、航路は飛び石伝いに港を進まざるを得ず、ある程度の航路推測が可能となっています。さらに通商破壊艦ごとに設定されたターン毎に、リフィット(オーバーホール)のため丸1ターンの入港が必須です。下手な港でリフィットに入れば、あっという間に北軍艦艇が集結してきます。
とはいえ仮に発見されても、移動力が等速なら5/6の確率で離脱が可能となっており、実際に戦闘になることはほとんどありません。これでは北軍は対抗不可能かといえばそんなことはなく、逃走を実施するごとに通商破壊艦はプロット外の1MPを消費します。当然MPが不足した分のプロットは消化できませんので、北軍艦艇を回避するうちに思わぬ窮地に追いやられる場面も発生します。今回のプレイでも、予定外の移動力消費でプロット終盤の給炭寄港が実施できず、補給切れに陥る場面も発生しました。また南軍勝利のために求められるVPは極めて高く、襲撃のための1MPの不足もじわじわと効いてきます。
加えてゲームの展開に従って、各国の南部連合に対する姿勢も硬化。南軍が利用可能な港は順次減少し、次第に通商破壊艦の狩場は減少。洋上では北軍艦艇を翻弄するものの、最終的には逃げ込んだ港に閉塞され、無力化されてゆく展開となります。
というわけで、替え馬のないテーマにユニークなシステムと期待の高まる作品なのですが、第2版でルールはなんとかプレイ可能なところまで改善されたものの、プレイアビリティの面での不具合が多数存在。いずれもちょっとした工夫で改善可能なレベルなのですが、主にコンポーネント上の問題のため、ハウスルールで対処するのも難しい。テーマのマイナーさ加減からリメイクも期待できそうもなく、「素晴らしい残念ゲーム」という評価になりました。
プレイの方とは言えば、南部連合Foreigner氏は、巧みな航路選択で終始N村北軍を翻弄。大西洋のみならずインド洋、太平洋でも通商破壊戦を展開します。特にCSS Nashvilleは、北軍太平洋艦隊の哨戒をすり抜けてオホーツク海まで到達。単艦で太平洋の捕鯨場を荒らしまわる活躍を見せます。
余談ですが本作品ではアメリカ西海岸には補給可能な港がなく、太平洋の捕鯨場に到達するにはインド経由のほうが容易となっています。極東最後の港は上海となるため、アメリカが日本に開港を迫ったもの無理はないよね、という話題になりました。
しかし終盤に至ると、南軍の活動範囲は次第に減少。特に英連邦植民地が態度を硬化させたターンでは、各地で入港中の通商破壊艦が一挙に4隻抑留されるというターニングポイントに。最終的に南部連合はすべての海戦を回避し、戦術・作戦的には北軍を終始圧倒しましたが、抑留艦の失点が響いて得点は伸びず。全16ターン中15ターンで南軍投了。北軍の辛勝に終わりました。プレイ時間は5時間ほど。プロットゲームとしては非常にプレイアブルなゲームした。
オマケは持参した各時代の通商破壊戦ゲーム3題。そのほかThe Far Seas(S&T#125), Suffren aux Indes(VV#34)なども塩漬けになっており、個人的には長年の課題となっているテーマだったりします。
日曜の締めは、最近定番の「シンデレラのおしごと」。「アイドル虎の穴」で特訓を重ねたドーピング緒方さんが、アルバム2連発、映画出演の大量得点でN村プロダクションの趣里に終わりました。
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