Angola : ミスボド 07/16
2012年の第2版リリース以来、長らく積みゲーとなっていたAngolaでしたが、旅団長様のお誘いによりようやく日の目を見る機会が。
というわけで今回はミスボドの一角を丸一日お借りし、ユーロゲームの片隅で殺伐としたアフリカ内戦をくり広げてまいりました。
Angola - MMP(→)
20世紀最後の四半世紀にわたるアンゴラ内戦より、ポルトガルからの独立直後の1975年に勃発した内戦序盤の1年間をプレイする4人用マルチゲーム。歴史的には東側系の「アンゴラ人民共和国」、西側系の「アンゴラ人民民主共和国」がそれぞれ独立を宣言し、以後長期にわたる内戦の枠組みが決定的になるまでの期間ということになります。といった本邦では馴染みの薄いテーマ。かつ実質4人プレイ専用ということもあり、なかなか対戦の機会に恵まれなかった作品です。
というわけで、本作にはFAPLA(アンゴラ人民解放軍)とMPLA(アンゴラ人民解放運動)の東側派閥、UNITA(アンゴラ全面独立民族同盟)とFNLA(アンゴラ民族解放戦線)の西側派閥の4つの派閥が登場。これらが2対2に固定された同盟関係で戦うチーム戦のゲームとなります。
勝利条件は、主に都市の確保による勝利得点が、同ターンの陣営サドンデス条件を達成すること。ただし増加分の得点は毎ターンリセットされますので、あるターンに一気に大戦果をあげる必要があります。とはいえサドンデスを達成できなくても、あるターンに優勢を達成した陣営のサドンデス条件は一段階引き下げれれますので、地道な戦果の積み上げも重要です。対して劣勢となった陣営には、それぞれパトロンとなる諸外国(キューバ、南アフリカ、ザイール)からテコ入れの精鋭部隊が送られてきます。このため順次戦火がエスカレートしつつ、介入部隊による巻き返しの続く、泥沼の内戦が繰り広げられます。
また盤面の優勢状態とは別個に、毎ターン各派閥はパロトン国からの援助を要請することができます。これは全派閥同時の秘密入札で決定され、入札分の援助部隊カードを引くことができます。ならば最大値をビッドしたいところですが、最も大きな値を入札した派閥の敵陣営は、サドンデス条件が一段階引き下げられるというボーナスを得られます(プロパガンダ勝利)。このため入札時では、味方派閥同士で引くなら引く、引かないなら引かないで、足並みをそろえた値をビッドすることが望ましいのですが、これがなかなか難しい。簡単ながら駆け引きの盛り上がるミニゲームとなっています。
そして盤面の部隊機動にも、ユニークなシステムが採用されています。ユニットは単独または「コラム」と呼ばれる最大4個のグループに編成されて活動を行います。各プレイヤーはカードにより活性化させたいコラム(および単独ユニット、コラム再編、パス)の順番をプロットしたデッキを作成。手番ごとにデッキの一番上のカードをめくり、対応したコラムの活性化(または指定のアクション)を行います。コラム活性化のカードは、コラム毎に最大2枚収録されていますので、読みが当たれば劇的なダブルムーブも可能。しかしターン毎のデッキ枚数制限(4-7枚)や順番の綾もありますので、なかなか思うようにはいきません。シンプルかつツボを押さえたプロットシステムです。
といったわけで、色々とユニークかつ見どころのあるシステムで、ウォーゲーム史の狭間に埋もれさせてしまうのは惜しまれるところ。難点は前述のテーマと人数に加えて、シーソーゲームによるプレイ時間の長さで、今回は全10ターンのプレイに7時間余りを要しました。
そしてゲーム展開の方ですが、N村はアンゴラ東部内陸を根城とする、MPLA(アンゴラ人民解放運動:黄色)を担当。西部沿岸を押さえたFAPLA(アンゴラ人民解放軍:赤)と組んで、共産陣営の勝利を目指します。序盤はアンゴラ中部に残された南アフリカ系UNITA(アンゴラ全面独立民族同盟:青)とザイール系FNLA(アンゴラ民族解放戦線:緑)の拠点を順次掃討。アンゴラの東西打通が達成されたあたりで、戦力を整えた西側陣営の反撃が始まります。
N村のMPLAは、主にザイールから南下するFNLAへの防戦を担当。海岸道を地雷原アセットでがっちり固めたFAPLA守備隊に任せ、内陸を迂回するFNLA部隊に対する機動防御を展開。終盤には内陸から海岸に躍り出たFNLAにより、キラースタックが沿岸ポケットに孤立。首都Luandaが2度にわたり攻撃される危機に陥りましたが、留守部隊と緊急増援で揚陸された義勇キューバ軍装甲車部隊の督戦により、辛うじてこれを撃退。南部でもFAPLAの主力部隊が、UNITAの侵攻をなんとかしのぎ、最終ターンまで逃げ切り。1点差で共産陣営の判定勝利に終わりました。
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