Churchill : GCS 2017/05/27
旅団長会の今月のお題は、ベテランウォーゲームデザイナーの手による戦略級第2次世界大戦。
Churchill - GMT Games(→)
Mark Hermanデザイン。1943年以降の枢軸陣営に対する連合軍の反撃を、チャーチル、ルーズベルト、スターリンの立場でプレイする戦略級ウォーゲーム。有名デザイナーの手による人気テーマながら、本邦ではほとんど話題にならない本作。おそらくユーロゲーム然としたコンポーネントが敬遠されたものと思われますが、GMT社からは先日第2版が発売されたほどの人気ゲームでもあります。
本作の特徴は、戦後を見据えた政治闘争に主眼がおかれた特異なゲームシステム。条件付き降伏か本土を占領されての無条件降伏かの違いはあれ、枢軸国の敗北と連合軍の勝利はすでに既定の状況。この状況下で、英米ソの各国は自国に有利な戦後世界の構築をめぐって政治闘争をくり広げます。
こうした設定から、本ゲームの中心は戦域マップ上での移動戦闘ではなく、毎ターン開催される「会談」におけるカードプレイとなります。各プレイヤーはここで各国の生産力や攻勢戦域、中小国への政治介入、原爆開発、戦線の指揮権などを議題として提出。提出された議題は、カードプレイによる綱引きで各国へと分配。ここで最も多くの議題を自国の影響下に置いた陣営が、会談の勝者としてボーナスVPを獲得します。会談が終了したら、各国は獲得した議題をリソースとしてマップ上に配置。これが各戦線への戦力投入や、中小国への権益をあらわすことになります。
最後はゲームシステムに従って枢軸軍の予備部隊を各戦線に分配し、連合軍戦力との戦闘を実施。連合軍が勝利すれば、戦線がドイツまたは日本本土に向けて一段階前進します。これによりドイツと日本の両本土が陥落するか、最大10ターンの規定ターンが終了したらゲームは終了。各国は戦線の侵攻状況、影響下に置いた中小国、原爆の開発状況、そして会談の成否により獲得するVPにより勝敗を競います。
また本作では、各プレイヤーにはあくまで連合軍の枠組みでの勝利が求められるのが面白いところ。日独両国への本土侵攻でゲームが終了し、トップと最下位の点差が一定値を超えていた場合、トップの独走により連合軍が破綻。ここで2位と3位の合計VPが1位を上回っていた場合、戦後世界ではこの2位と3位の連合が優勢となり、2位のプレイヤーが勝者となるのです。このあたりの駆け引きは、下位プレイヤーの救済をゲームの設定に落とし込んだ巧みなデザインです。
今回はプレイでは、N村はチャーチル首相率いる英国を担当。序盤にアジアの植民地権益や地中海戦線でごねまくった結果、西部戦線ではフランス上陸が遅延。そうこうするうちに東部戦線でソ連軍(HA氏)大突破の機運が高まり、英米両国を慌てさせます。西側連合軍はソ連を牽制しつつ、遅ればせながら日独侵攻作戦のペースをアップしますが、時すでに遅し。1ターン差で日独とも本土決戦を免れ、条件付き降伏で第二次世界大戦は終了。原爆完成と終盤の太平洋戦線で得点を稼いだ、アメリカ(旅団長氏)の逆転勝利に終わりました。プレイ時間は6時間ほど。
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