Bios: Megafauna 2nd edition
BIOS 3部作
本版のBios:Megafaunaは”American Megafauna”(Wikipedia参照)の進化論的子孫であるが、またBios: GenesisにリンクするBiosシリーズの一作でもある。本作は独立してプレイすることも可能だが、プレイヤーはBios: Genesisのプレイ中に創造した肉眼的生物を使用して、本ゲームを開始することもできる。さらにこの続編となる理性とテクノロジーの発展を扱ったBios: Origins(Originsの後継ゲームとなる予定である)と呼ばれる更新世期を扱ったゲームが予定されている。Bios: Mefafauna 2nd - ルールブックより
Bios: Megafauna 2nd edition - Sierra Madre Games(→)
American Megafauna(1997), Bios: Megafauna(2011)に続くMegafaunaシリーズの第3弾かつ、Bios: Genesis(2016)に続くBiosシリーズ第2弾。前作Genesisのラスト、生物が地上への進出を果たした4億5千万年前の古生代オルドビス紀からゲームはスタート。地球上の4つの大陸隗を舞台に、古生代と中生代を駆け抜ける約4億年間の生物進化をテーマとするシミュレーションゲームです。
またタイトル上はBios: Megafaunaの第2版ということになっていますが、北アメリカ大陸における爬虫類と哺乳類の進化をテーマとした前作とは、テーマもスケールもまったく異なる完全な新作です。とはいえニッチへの適合や、ライバル生物との競合のシステムは健在です。Megafaunaシリーズの経験者であれば、比較的スムーズにルールに入ることができます。
というわけで、本作では各プレイヤーは脊索動物門、軟体動物門、節足動物門のいずれかの門(phylum)を担当。第4のプレイヤーのみ少々特殊で、菌界の担当となります。ゲーム用語上は第4プレイヤーは菌界ではなく植物ということになっていますが、プレイヤーカードの背景情報(菌類)や、二酸化炭素濃度が高まると有利(=光合成をおこなう)というルールから、菌類と藻類が共生した地衣類のような生物が想定されているようです。
ゲームの舞台となるのは、カンブリア紀以降の安定陸塊である「クラトン」を表した4つのメガヘクス。この4つのクラトンが、イベントにより衝突や南北移動を繰り返すことで、地上の気候は刻々と変動します。
またクラトン自体の移動に加えて、その地表の地形も一定ではありません。炭素、水、酸素を表す各ディスクが、クラトン上と保管庫である「リザーバー」の間でやり取りされることにより、地形自体も変化します。例えば水ディスクが大気リザーバーから抜き出され、クラトンに配置され氷河となる(大気中の水蒸気が氷結して氷河となった結果、雲量が減り降雨量も減少)。クラトン上に配置されていた二酸化炭素ディスク(山地)が取り除かれ、大気リザーバーに戻される(風化で岩石に取り込まれていた二酸化炭素が、浸食で放出され大気中の二酸化炭素濃度が増加)、といった具合です。こうしたリザーバーの状況は、イベント発生のトリガーとして参照されるほか、例えば動物プレイヤーであれば酸素濃度で、植物プレイヤーであれば二酸化炭素濃度でアクション数が増減するなど、プレイヤーの活動にもダイレクトに影響を与えてきます。
このクラトン上でプレイヤーの手駒となるのが、個体群を表す「クリープル」(Creeple:クリーチャーcreatureのミープルmeeple)です。当初は各プレイヤーの原型種を表す「アーキタイプ」の一種のみですが、変異カードを購入することにより能力が変動します。
生物の能力の元となる変異カードは、Sierra Madre Gamesではお馴染みのカードが並べられた価格変動マーケットから購入されます。購入したカードに記載されている能力値は、対応した色のキューブを配置するという、Genesisで用いられたシステムを継承。強化された裏面への発展システムも健在です。また一部のカードは、発展することによりアーキタイプとは異なる「形態」へと分化することが可能です。これにより最大で4種の形態に分化することができます。
この「形態」は、脊索動物門であれば脊椎動物亜門(ヤツメウナギ&魚類)や顎口上綱(顎のある魚類)といった亜門や上綱に相当。形態に含まれる各「クリープル」が、それぞれ爬虫網や軟骨魚綱などの網に相当するスケールとなります。本ゲームにおいては、仮に哺乳類(網)に相当する生物が登場したとしても、脊索動物プレイヤーのクリープル駒のうちのひとつ、ということになります。生物相全体からすれば、哺乳類の存在感などこんなものです。
クラトン上の各ヘクスに配置できるのは、草食生物とそれを捕食する肉食生物が各1駒のみ。複数のクリープルが配置された場合、そのヘクスのニッチへの適応度や捕食者から逃れる能力を比較する競合判定を実施。これに敗北したクリープルは「絶滅危惧」状態を経てターン終了時に除去されます。また肉食生物の場合、対応する草食生物を捕食できるだけの能力値を備えていなければなりません。このあたりのニッチ適合や捕食者と被捕食者との軍拡競争は、Megafaunaシリーズでお馴染みのシステムです。
こうしてクラトン上に配置されたミープル人口を定期的に集計。この配置数による順位点、登場させたものの絶滅してしまった生物の化石点、さらに変異カードの組み合わせにより獲得される「エモーション」能力(怒り、恐怖、幸福、嫉妬、好奇心)の所持により得点し、勝敗が争われます。またいずれかの生物が3種のエモーションを獲得した場合、言語を持つ生物が登場したものとして、直ちにゲームは終了。言語と意識の物語はOriginsへと続きます。
また本作にはオプションとして、火星と金星のクラトンも収録。こちらはそれぞれ、海洋が消滅して惑星の生態系が崩壊するまでに、どれだけ豊かな生物相を生み出せるか、というスコアアタックのシナリオとなります。
というわけで、作戦級のゲームの続編が戦略級だった、くらいの大幅な改変となりましたが、Megafaunaシリーズの核であるニッチ競争システムは健在。大陸移動と酸素、二酸化炭素、水の循環によりダイナミックに変動する地球環境において、これまでにない規模で生物進化をシミュレートするゲームとなりました。しかしルール中でも「ローラーコースター」と表現されている通り、環境の変動は容赦がなく、これをマイルドに抑えたオプションルールが用意されているほど。相変わらず過酷な戦場の過酷さをこそ体験したい、生物進化に関心のあるシミュレーションゲーマーという、特異な層にのみ刺さるゲームとなっています。
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