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Stellar Horizons : GGG 2020/07/12

今月より再開したGGGでは、Compass Gamesからあらわれた(物理的)ハードSFゲーム界の刺客にて人柱会を開催。

Stellar Horizons - Compass Games()

Compass GamessのKickstarter案件。2030年代からの太陽系開発を1ターン1年でプレイするハードSFマルチゲーム。最初に構想が発表された時点では、プレイヤーシート上のの宇宙機フロアプランにモジュールを配置して宇宙機を組み立てるなど、SFゲーム界隈の猛者も戦慄する内容でした。しかし最終的に出版されたのは、後述するように良くも悪くも普通のゲームとなりました。まぁ巨大なボックスにユーロゲーム仕様の分厚いカードボードが26枚も入っていたのには、別の意味で戦慄させられましたが。

デザイナーのAndrew Raderは、MIT出身の宇宙エンジニアから宇宙科学解説者を経て、現在はスペースXでミッションマネージャーを務めているというその筋の専門家。「専門家が流行りにのって趣味丸出しの精密ゲームを作っちゃった」タイプかな?と思っていたのですが、World in Flamesのモジュールにクレジットがありました(Commandoes in Flames(2008))。「こんなところにガチウォーゲーマー」の方でしたか。

Sh-2020071203a

ゲームの方は、写真のようなタイルで太陽系を構成。ヘクスが地球や土星のような惑星系、円形ボードが衛星やトロヤ群小惑星のような近傍天体です。惑星系間の距離は、軌道番号の差で表現され、この相対距離を基準に惑星系間の移動に必要なターン数が求められます。

プレイヤーの立場は、日本やアメリカ、中国、といった各国家の宇宙開発担当者。最大で7種の国家または連合体(EU、国連など)が登場します。国家間の外交に関するルールも存在し、政治ポイントの投入により国ごとの外交マトリクスが変化。国家間の協調や経済封鎖、さらには宇宙機同士が戦う戦争まで可能です。

シークエンスは10年毎の経済フェイズに、国家予算と各天体に設置した施設から、収入と資源を獲得。天体探査で積み上げた技術ポイントを投入して、生物学、物理学、工学の各技術ツリーを開発します。

各年のターンでは、資金と資源を投入して有人無人の宇宙機、打ち上げロケットを建造。各天体に探査機を送り込み、天体探査により技術ポイントを蓄積。ある程度の探査が進んだ天体には基地が設置できるようになり、資源を投じて前進基地を建設。基地に設備を追加することで、資源採掘や技術研究が可能となります。また基地に民間人の居住する居住区を設置することで、地球外植民地が形成され、この植民地は現金収入を生み出します。そして基地を足掛かりに更に外惑星へ、という、探査と資源採掘の拡大再生産のサイクルに入る、というのがゲームの基本構造です。

勝敗は最大130年のキャンペーンゲームでは、配布されるミッション(指定の天体探査など)の達成、技術開発、地球外人口、宇宙機の総数などから得られる勝利得点制。また最短1フェイズの戦闘シナリオから、太陽系全域を使用する全面戦争まで、7本の独立シナリオも収録されています。

ゲームシステムとしては特に目新しい部分はなく、宇宙機の打ち上げや移動には故障チェック、天体に探査機が到達したら探査チェック、基地を建設したら資源のタイプと設置した採掘所の能力で獲得資源を算出。植民地は10年毎に10%の経済成長があって……と、おおむね想像通りの愚直なルールの積み上げで構成されています。ユーロゲーム的な「ゲームのためのルール」はほとんどなく、最初にルールを通読した際の印象は「これはSPIかGDWのSFゲームか?」というものでした。さすがに記録用紙で帳簿管理をするようなことはありませんが、「80年代にGDWが出版した『トラベラー』世界の21世紀太陽系の宇宙開発ゲームを、最新の科学的知見とコンポーネントで再版したもの」といわれても、さほど違和感のない内容です。

ちなみに現役の宇宙開発関係者が趣味のかぎりをつくしただけのことはあり、開発の進捗とバランスは非常に現実的。今回はまっさらの状態からの火星開発シナリオを試みましたが、2030年代にアメリカが火星の無人探査と並行して月軌道ゲートウェイ相当の軌道拠点を建設。2040年代に軌道基地を出発した宇宙機が火星に到達し、10年にわたる現地調査を実施。2050年代の予算で火星に恒久基地を建設したいね、といった状況でした。

Sh-2020071218a

トップを走るアメリカ(S木氏)以外の状況は、最初に目標を月開発さだめたロシア(N村)は、2030年代の無人ローバー探査と40年代の有人探査で、こちらも次の予算で月面基地を、という状況。現実通り有人宇宙技術に劣る日本(YMD氏)は、多数の無人探査機を送り出して科学的知見を蓄積。20年で先行各国の技術に追いつき、これから巻き返しか?という状況。特に地球近傍小惑星で15年近く運用された無人ローバー「Tanakaさん」は各国の称賛をうけました。最後の中国(SG氏)は、金星の無人探査に固執。探査機を投入する端から故障する過酷な環境に泣きましたが、40年代には地球軌道で有人宇宙機を運用するまでに技術を蓄積したのでした。

ちなみに人柱の4名全員がHigh Frontier(SMG)の経験者でしたが、「ルールは簡単で現実に即しているけど、序盤の展開のキツさはHigh Frontier以上」という感想は一致。オールドスタイルかつ、谷甲州的なハードSFゲームを求めるニッチ層向け、という作品です。

※2020/07/26追記:YMD氏よりHigh Frontier未経験との自己申告あり。え、そうだったの?!

◆ルールメモ

・REのspectrometerの効果は、これによるexplorationでのdepletion発生時に、world cardを2枚引いていずれかを選べる。(2.2.1)
・Baseに備蓄可能なresourcesに上限はない。(2.3.1)
・Earthでresourceを売買。購入:1個で1B、売却:任意の2個で1B。(2.3.2)
・LVによるresourceの運搬先はbaseもしくはEarthのみ。それ以外にデポできない。(3.3.2)
・CVのmobile laboratoriesの効果は、自身のexplorationで2個のダイスをロールしていずれかを選べる。(2.6.4)
・CV rangeの起点は、Earthまたは、対象CVのreserve解除能力を持つSupply Station/Spaceport。(2.6.5)
・Reserved CVは、explore, produce, trade, build bases, combatの開始ができない。(2.6.6)
・Free Tradeを超える協力関係となるためには、両プレイヤーの合意が必要。(3.1.3)
・Baseの生産でtech pointを得るためには、Research Labが必要。(3.1.4)
・同天体で同種の生産を実施する後手番プレイヤーは、生産量が減少する。(3.1.5)
・Develop Technologiesの手順は、「イニシアチブ逆順に1個づつ開発」のラウンドを繰り返す。パスすると以後のラウンドに参加不可。(3.17)
・Settlementsの成長率は10年で10% (3.1.8)
・Unreserveのコストは1SUP & 1Fuel(またはEarthで2B)。

 

 

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