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St-Lo : GCS 2020/09/26-27

ゲームサークル坂戸でのお題は、突如関西から刺し込まれた懐かしの佳作より。

St-Lo - War Drum Games()

オリジナルはWest End Gamesの1986年作品。Joseph Balkoski作品再販の一環として、中国のWar Drum Gamesよりコンポーネントを一新して再販されたもの。コンポーネントは中英表記として、ルールブックとチャートを英語版に差し替えたものが、近々Quarterdeck Gamesより販売される模様です。今回はご厚意により、WDGの中国版を入手しました。

Stlo-2020091302a

個人的には都内のゲームサークルに顔を出し始めた20世紀末に、Balkoskiファンの故F氏に誘われプレイさせていただいた想い出のゲームです。結局一回きりのプレイでしたが、ユニークなシステムが強烈に印象に残った作品でした。

本作のテーマは、タイトル通り1944年7月の米軍によるサン・ローの攻略戦。米軍2個師団強による本作戦を、306ヤード/ヘクス、歩兵大隊/ユニット、1日/ターンで再現します。これだけであればちょっと戦術級寄りの作戦級なのですが、そこはBalkoski。以下のような珍しいシステムが使用されています。

◆活性化システム

本作にはいわゆる「プレイヤー・ターン」が存在せず、両プレイヤーがイニシアチブの1d6ダイスを振り合い、大きかった側が1回の活性化を実施。ひたすらこれを繰り返し、両者パスまたは、双方が1-1のゾロ目となるまでターンを継続します。

活性化した際は、1個大隊を指定して活性化ロールを実施。大隊の現在の士気値(最大7-6)とロール結果の差がアクションポイントとなり、これを消費して移動や戦闘を実施します。ターン中に複数回の活性化も可能ですが、活性化する毎に士気値は減少してゆきます。士気値以上のロール結果では実質パス(かつ士気減少)になりますので、適度な部隊のローテーションが必要です。

◆歩兵大隊とアセット

上記のように、本作は歩兵大隊のモラル管理をベースとしてシステムが組まれています。このためマップ上に登場するユニットは、歩兵大隊ユニットとこれを分割した歩兵中隊ユニットのみです。ではその他の戦車や対戦車砲といった部隊は?といえば、師団に配属された中隊・小隊規模の「アセット」としてゲームに登場します。これら「アセット」は単独では存在できず、必ずいずれかの歩兵ユニットにスタックして配置されます。本作の戦力比CRTは攻撃側に厳しく、攻撃に際してはアセットの投入でDRMを積み増す必要があります。また戦車や対戦車砲が投入した場合、通常の攻撃判定の前に一種の対戦車戦ロールも実施されます。

全面がボカージュで覆われ「視界が50ヤードを超えることはない」というこの戦場、スケールでは、戦車が単独で運用されることはなく、必ず歩兵との相互支援下で投入されていたことを踏まえた、非常にスマートな処理です。

◆砲兵と観測

本作における砲兵は、マップ外から単独または戦闘の支援としてその砲撃力を投射してきます。ここでユニークなのは、その攻撃力が「観測者の高度レベル-目標の高度レベル」(最低1~最高4)で掛け算されることです。同じ砲撃力でも、観測者の視界により最大4倍まで火力が変動します。聞いた瞬間に「山に登るしかないな!」と思わせる大変乱暴なルールです。

そして砲撃力が関与しない戦闘では、高度差による修正は一切ありません。本作における高地は「地形修正が得られるから」ではなく「有利な観測点を得られる(与えない)」ために存在するのです。これ以上ないくらいシンプルですが、制高点の重要性がストレートに表現されています。

◆プレイ本編

今回は独軍FORGER氏をお相手に、N村はアメリカ軍を担当。初日の土曜日は、ルールの読み合わせと第1ターンのみで終了。本作のような無限活性化システムのオープニングに共通する問題ですが、部隊がフレッシュで手数の多い序盤は恐ろしく時間を要します。初見のプレイヤーはこの時点で挫けるんじゃないの?というのが初日の感想でした。

そして翌日曜日の第2ターンからは、序盤で疲労した部隊から回復ローテーションに入るサイクルがスタート。格段に軽快なプレイが始まります。ゲームの展開の方は、早くも第2ターンに米軍第29歩兵師団がサン・ロー=バイユー街道に到達。ここから東回りにじわじわとサン・ロー市街に向けて前進。第7ターンに空襲と連続した弾幕射撃で市街をこじ開け、強行軍で2個大隊が市街に突入。ここで疲弊した両軍とも手詰まりとなり、最終第8ターンを残して米軍辛勝での協議終了となりました。プレイ時間はのべ9時間ほど。

感想戦では両プレイヤーとも感触は良好。乱暴なターン終了処理など古くさい部分もあれど、ユニークなシステムは今でも通用する良作、という評価は一致しました。また今回の追加ルール(序盤ターンの事故終了対策)は良改良でした。

詳細は例によってこちらへ。

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