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High Frontier 4 ALL : 2020/11/21

先日のゲームマーケット参加者の皆さん、お疲れ様でした。初日はひたすらシエラマドレ解説おじさんになっていたN村です。
紆余曲折の末、なんとかゲームマーケットには間に合ったHigh Frontier 4 ALLのOrigins研究会頒布分でしたが、なぜか未だにバッカ―であるN村発注分は届かず。第3版の時もこんな感じだったよなぁと、発送通知を待つ毎日です。

High Frontier 4 ALL - Sierra Madre Games ()

Origins (2007)に続くSMGの出世作。近未来の太陽系開発をテーマにしたHigh Frontier (2010)のシリーズ最新版。暴走するリビングルールを包括した決定版を目指して不完全燃焼となった外注(One Small Step)の第3版(2017)に対し、完成度を高めたリベンジ版となります。今回の第4版プロジェクトの全体構成は和訳ページ()へ。本項では本編であるCore Gameについて解説します。

Hf4a-2020112103

◆Core Games

舞台は現在から10数年後、近未来の太陽系全域。各プレイヤーが国家組織(例:NASA)や企業(例:SpaceX)などの宇宙開発団体の代表者として、地球外資源の事業化を目指すマルチゲーム。ウォーゲーム流にスケールを解説すると、1ユニット:宇宙機1機、1ターン:1年、1ヘクス:1小惑星、移動1単位:2.5km/secの加減速といったところになります。

デザイナーはSMG代表のPhil Eklund。学生時代のL5協会での活動から続く本作のデザイン余話が、ゲーム添付のAppendix冊子に収録されており、SF,宇宙開発マニアは一読をお勧めします。以前から交流が公言されていた火星協会のズブリン博士だけではなく、SF作家としても知られるフォワード博士とも絡みがあったのは驚愕でした。Appendixの和訳はこちらへ()。

◆システム概要

本シリーズについては長らくアップデート分しか紹介して来ませんでしたが、初版から10年も経ちましたので、改めてゲームの基本的な流れを紹介しておきます。

本作のマップ上を移動するのは宇宙機を表すロケット駒ですが、各宇宙機はそれを構成するモジュールを表すカードを組み合わせて作成されます。プレイヤーはオークションにより各カードを入手し、必要なモジュールがそろったらスタート地点となるLEO(地球低軌道)でロケットを作成します。

ロケットが完成したら、搭載した「ロボノーツ」(遠隔無人探査機)の性能で探査可能な目標天体まで、「スラスター」が必要とする燃料を搭載します。ここで各スラスターには、カードで解説されている技術に応じた推力と燃費(比推力に基づく燃料効率)の値が設定されているのが本作のポイント。例えば地上からの打ち上げに使われているような化学ロケットは大推力だが燃費が悪い、探査機「はやぶさ」で使われたような電気ロケットは低推力だが燃費は良い、太陽風を利用するソーラーセイルは推力微小だが燃料を消費しない、といった特性があります。

もちろんモジュールの合計質量に応じて、ロケットの正味推力は低下します。さらに燃料にも質量がありますので、調子に乗って燃料を積み込めば、さらに推力は低下してゆきます。そして燃費の良いスラスターはおおむね低推力で、巡航はともかくケレスなど準惑星級のサイトには着陸もままなりません。ならばと巡航用と着陸用の2種類のスラスターを搭載すれば、常にいずれかはデッドウェイトとなります。

そしてこれらの重量と燃料、推力の管理は、プレイヤーシートのマトリクス上で各マーカーを動かすことで簡単に求められます。一見複雑そうに見えますが、必要な計算はモジュールと燃料の足し算、所用燃料の計算(目的地までの噴射回数×燃費)のみです。

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手持ちのロボノーツで探査可能かつ、そのスラスターが無理のない燃料で到達可能で、推力的に着陸可能なサイト(天体)はどこか?意中のサイトに到達・探査可能なカードをオークションで揃えることができるか?美麗なマップに目を奪われますが、ゲームシステムとしてはこのモジュール集めのオークションがメインエンジンとなります。

そして何とか目的地のサイトに到着したら、搭載してきたロボノーツによる資源探査を実施します。首尾よく資源を発見できれば、該当サイトに自派の「クレイム」(領有権)を配置してこれをマークします。そして自派がクレイムを配置したサイト上で、ロボノーツと「リファイナリー」(精錬施設)を使用すると、ロボノーツが資源を収集してリファイナリーがこれを精錬・加工する「ファクトリー」が建設されます。この工場では、天体の資源タイプ(スペクトル型)に対応した強力なカード(通常のカードの裏面)を生産することが可能になります。

こうしてロケットのモジュールを強化しながら、地球外の資源採掘工場を順次建設する拡大再生産のサイクルへ。規定ターン数の経過でゲームは終了し、このファクトリーの種類と数を主な得点源として、獲得した勝利得点でゲームの勝敗が争われます。

そして本作に登場する技術は、すべて現用技術の延長線上。SF小説でいえば谷甲州的な泥臭いロケット運用が特徴で、これを面白がれるかどうかが本作の評価の分かれ目です。最近のNASAの「月か火星か?」の論争を追いかけているような隠れ宇宙開発クラスタの貴方、High Frontierはそんなゲーマーのためのゲームです。そして前述のように、本作のスタッフには火星協会がガッツリ噛んでいますので、ゲーム内で彼らの主張を確認することも可能です。もちろん「マーズ・ダイレクト」で必要となる、ISRU技術による燃料の現地調達のルールも最初から織り込まれています。


◆Future Game (M1/M2)

というわけで全7冊の膨大なドキュメントを翻訳したものの、肝心のゲームが届かず無聊をかこっていたところ、先にゲームが到着していたしんし氏のグループより第4版初プレイ会のお誘いが。そういえば3年前の第3版の時も、同じようにご厄介になったのでした。

そして総勢5名が集まった初プレイ会は、Core Gameに今回同時発売されたM1/M2の両拡張モジュール、そして拡張モジュール収録の特別クエスト「フューチャー」も使用する現時点の「全部入り」でのレギュレーション。正直なところ旧版経験者とはいえ、いきなりのこれは厳しいのではないか?と危惧していました。しかし第4版で改良されたバナール(軌道コロニー)、プロモート関係ルールの効果が大きく、時間切れ協議終了となった正味9時間のプレイで全84(年)ターンのうち72ターンに到達。フューチャーも2種が達成、他に3種の達成の目途が立ったという状況に。あと一時間あれば完遂できたのではないか、という感触で、各プレイヤーの反応もまずまずの第一戦でした。

ちなみに勝敗の方は、土星系までバナールを進出させて海王星まで探査を成功させたNASAが、希少資源工場を押さえて暫定トップ。N村の担当のROSCOSMOSは、水星にバナールをアンカーしたところで清水建設のフューチャー「ダイソン泡」と「カルト指導者」の踏み台にされ、起死回生の「金星の新天地」も間に合わず2位に終わりました。ぐぬぬ。

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