« Bios: Mesofauna 和訳ルール | トップページ | Constellation vs L'Insurgente : GCS 2021/12/18 »

Captain's Sea : GGG 2021/12/13

年末駆け込みの新作を抱えて、週末はGGGの12月例会へ。

Captain's Sea, The American Frigates 1799-1815 - Legion Games ()

帆船時代の海戦ウォーゲーム「Flying Colors」シリーズを手掛けたMike Nagelが、ほぼ10年ぶりに送り出した同テーマの新作。今回の舞台はナポレオン戦争の裏番組、疑似戦争(1798-1800)と米英戦争(1812-1815)におけるアメリカ海軍フリゲートの戦い。収録されている10本のシナリオ中のうち8本が英米戦争で、この戦争で活躍したいわゆる「6隻のフリゲート」に注目した作品となります。

Cs-2021120701a

過去の帆船時代テーマのウォーゲームに対して、本作の一番の特徴は一対一の「決闘」のみをあつかうことにあります(一応オプションで2対1も可能)。決戦兵力として艦隊を組むことが多い戦列艦とは異なり、偵察、哨戒、連絡、通商破壊など、単独運用が多いフリゲートの戦いは、必然的に同様の敵艦との「決闘」となります。オーブリー&マチュリン(マスター・アンド・コマンダー)のサプライズ号をはじめ、帆船小説における新進気鋭の勅任艦長には定番エピソードです。

ゲームシステムの面では、風向きと彼我の相対針路をマトリクスにあてはめ、双方の移動力を決定するというシステムが使用されています。要するに「同針路同速力であれば彼我の位置関係は変化しないので、いちいちマップ上を移動させない」というわけです。こうして決定された移動力を、1ターン12インパルスに分割されたゲージに分割して配置。積み木でプロットした操船マヌーバ(直進、下手回し、上手回し、等)の移動力コストに達するごとに所定の移動を実施し、これを繰り返すことでターンが進行してゆきます。インパルス移動というと煩雑な印象を受けるかもしれませんが、平均移動力は5前後、スクエアマップの縦横移動に2移動力、斜め移動に3移動力が必要ですので、インパルスはどんどん飛んでゆきます。このあたりの塩梅は、往年のインパルス制アクションプロットの名作「Gunslinger」を思い起こさせるプレイ感でした。ちなみに砲の装填はクルーの練度と弾種により、6-14インパルスを要します。

Cs-2021121213a

またシチェーションを「決闘」に絞ったことによる、ミクロ的な乗員マネジメントも本作の見どころです。ターンの開始時に、各艦は乗員ポイントを「舷側砲(右左、前後の4区画)」「船体の応急修理(同4区画)」「帆の上げ下げ」「帆操作」「帆の応急修理」「白兵戦」のいずれかにに割り当てる必要があります。クルーの総数は片舷斉射と帆操作+αといったところ。初期状態でも両舷戦闘配置には足りず、もちろん戦傷によりクルーは減少してゆきます。戦列艦と比べて所帯の小さなフリゲートでは、操船のプロットと合わせた先読みがより重要です。

プロットとインパルス移動さえ押さえれば、残るルールはこのテーマの常識的な事柄ばかり。あとは遮るもののない大海原で風向きと相手の出方を読みながら、砲撃でクルー、帆装、砲列を削ってモラルチェックによる降伏に追い込むか、接弦切込みによる拿捕を目指したチキンレース。さらに装填マーカーによる砲弾(通常、二重装填、鎖玉)のプロットや、カードプレイによる攻防のブーストやカウンターあり、といったところです。


20.8 Congress v.s. Curlew (1813/05/02)

まずはルール確認の一戦目。お相手のS木氏の「性能に格差のある対戦を試したい」との要望により、USSコングレス(38門フリゲート:N村)によるHMSカーリュウ(16門ブリッグ・スループ:S木氏)の追撃戦。しかしほぼ同性能の追撃戦では、劇的なイベントが発生しない限り延々と追撃砲の打ち合いになる……という不毛さが発覚したため、早々に切り上げ。そりゃそうだ。

20.10 President v.s. Endymion (1815/01/15)

仕切りなおして2戦目。英軍の封鎖戦を突破しようとしたUSSプレジデント(44門フリゲート:N村)が座礁損傷。離脱した手負いの状態で英艦隊に発見され、突出した英海軍最速のHMSエンディミオン(40門フリゲート:S木氏)との交戦となったシナリオ。先行するプレジデントは帆装が損傷し、全速が発揮できない状態からのスタートとなります。

Cs-2021121209a

こちらは早々に交戦を決断したプレジデントが回頭。同航戦から交差反航戦に至ります。この至近距離での反航戦では、双方カロネード砲を含む片舷斉射が炸裂。結果は格上のプレジデントが押しきり、マストが倒壊したエンディミオンが降伏。しかし勝利したプレジデントも無傷では済まず、VP判定では善戦した英軍の優勢勝ちとなりました(エンディミオンとの戦いに手間取るうちに、後続のマジェスティック(58門レイジーフリゲート)に捕捉されたのでしょう)。ちなみにこの対戦、史実では格下のエンディミオンが打ち勝っています。鬼か。

20.9 Chesapeake v.s. Shannon (1813/06/01)

3戦目は有名なUSSチェサピーク(36門フリゲート:N村)とHMSシャノン(38門フリゲート:S木氏)の対決。こちらは性能は同等、クルー練度は英軍圧勝(ベテラン対新米)。チェサピークが風上の優位をどこまで生かせるか?という対戦となります。

こちらは風上をキープし続けたチェサピークに対し、シャノンがタッキングを駆使して接近。緒戦はチェサピークが先制しますが、高い練度で速射してくるシャノンが圧倒。新米クルーで装填間隔の長いチェサピークは、神出鬼没に砲煙の切れ目から砲撃してくるシャノンを捕えられずに右往左往。最後は白兵戦に至るまでもなく、マスト倒壊、クルー壊滅によりチェサピークに白旗が揚がりました。

 

メモ&要確認

カードの「Crew Quality」は「Crew Morale」と読み替える()。
「3.9 Crew Points」ターン中にクルー損害を受けた場合、クルー割り当ては随時変更されるのか?変更されない場合、割当先の値は同ターン中は有効のみなすのか?
「11.9 Chasers」のヒットはリグに直接与えられる。DET判定は実施しない()。またクルー割り当ては不要。
相手のクルー割り当ては確認できるのか?公式回答「好きにして」()
「10.0 Reloading」装填完了時には該当セクションにクルーが必要。居なければ装填やり直し。ここで有効なボックスの一部しかクルーが割り当てられていない場合など、細かいことを言い出すといろいろと派生問題が。

 

戦史余話:「チェサピーク対シャノン」と『宇宙の戦士』

|

« Bios: Mesofauna 和訳ルール | トップページ | Constellation vs L'Insurgente : GCS 2021/12/18 »

Captain's Sea」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Bios: Mesofauna 和訳ルール | トップページ | Constellation vs L'Insurgente : GCS 2021/12/18 »