BCS: Valley of Tears : GGG 2023/11/12

11月のGGG例会では、遅ればせながらヨム・キプール戦争50周年アイテムのブートキャンプを開催。

Valley of Tears: The Yom Kippur War, 1973 - MMP (→)

大隊ユニット、1マイルヘクス、1日ターンで、第二次大戦以降の諸兵科連合部隊による機動戦を再現する「Battalion Combat Series (BCS)」の最新作。今回のテーマは第4次中東戦争で、ゴラン戦線をマップ1枚、シナイ戦線をマップ3枚に収録。キャンペーンシナリオでは戦争の全期間をあつかいます。前述のBCSのテーマ的にはこの戦争がギリギリ上限の時代というところです。

そして諸兵科連合部隊テーマとしての本戦争の見どころといえば、ザガー対戦車ミサイルやRPGをはじめとする対戦車火力の強化と、イスラエル陸軍のオールタンク・ドクトリン。このうち前者については、対戦車ミサイルは既存の支援用対戦車部隊のルールの枠組で、後者はエジプト軍歩兵部隊固有の防御専用DRM(+1)として登場。システムの拡張性の高さが光ります。またイスラエル軍については「支援ルールを使用できない」という一言でドクトリンを再現。大隊ユニットとイスラエル軍の兵科別編制が見事にマッチした格好となりました。というわけで、IDFは否が応にも戦車大隊による蹂躙攻撃に頼らざるを得ない格好となっています。

また航空兵力を重視するイスラエル軍と本戦争における地上戦への影響を鑑みて、本作では航空攻撃ルールを拡張。単なる砲撃ポイントの分配として表現されていたものを、制空、SEAD（CASの損害低減）、CAS（砲爆撃）、縦深攻撃（飛行場攻撃（航空ユニットへの直接打撃）と阻止攻撃（活性化ロールへのペナルティ付与））の四要素に分割。機種別に実施可能な任務が設定された航空隊ユニットが登場し、航空戦と対地支援が戦われます。ルールの書き方が少々難解でピンとこなかったのですが、実際にプレイしてみるとシンプルで納得のルールでした。

収録されたシナリオは、1枚マップ2ターンの小型シナリオから、両戦線全体を使用する開戦から終戦までの全体キャンペーンまで計8本。20ページにおよぶ詳細なデザイナーズノートまで「構想20年」と言うだけのことはある充実のパッケージでした。

S6.6, Aryeh Dov (Small), 1973/10/08-09.

今回はBCS未経験のNT氏をお相手に、シナイ戦線におけるイスラエル軍の第1次反攻のシナリオでのインスト戦を開催。イスラエル軍2個機甲師団が、エジプト軍橋頭保を攻撃。運河沿いの拠点2ヵ所以上を救援し、西岸に旅団規模の機甲部隊を突破させれば勝利……というものです。

今回イスラエル軍を担当した初プレイのNT氏は、ユニークなシステムに四苦八苦しながら、南側143機甲師団（シャロン）により、エジプト軍第16歩兵師団の陣地に果敢に突撃。ザガー対戦車ミサイルの支援を一枚一枚剥ぎ取りながら、連続したオーバーランで第1活性化で突破口を啓開。そして続く第2活性化で第16歩兵師団の司令部に突入したことで、同師団の準備防御態勢が崩壊。同方面のポンツーン橋周辺の守備隊を一掃すると、初手から西岸に戦車大隊を送り込むことに成功します。ちなみに本作のイスラエル軍の戦車大隊ユニットですが、移動モードでもアクションレーティング（練度）と射程が低下しないという、本シリーズ的にはチート的なレーティングとなっています。

いきなりの敗走に衝撃をうけたエジプト軍Ｎ村は、機甲旅団2個相当の集中運用で手薄となったシャロン師団の北側面へと、第24機甲旅団を投入。開戦からの消耗でステップロス状態となっていた第14機甲旅団の戦線をゴリ押しで食い破り、後方のシャロン師団司令部へと突入。本シリーズのインスト戦らしい、グタグタの乱打戦となったところで時間切れ感想戦となりました。開幕の状況的には相打ちの痛み分けですが、初手から渡河されたエジプト軍的には精神的敗北という状況です。これは解任待ったなし。

恒例のプレイ中継はこちらから。余談ですが最初の投稿の接続元が間違っていますが、そちらの話題（戦車駆逐大隊指揮官による、M18とM10の評価レポート」）もご興味のある方はどうぞ。

1973年11月8日、スエズ運河地帯。開戦3日目、イスラエル軍2個機甲師団による反撃が開始された。 pic.twitter.com/oDuNEq48se

— Ｎ村 (@enumura) November 12, 2023