« We Are Coming, Nineveh! : 山田邸 2024/03/03 | トップページ | HF4A, Future Game (M0124+JS) : GGG 2024/03/10 »

LC:IP, Quickdraw : PBX 2024/03/02-06

待望の第2版がリリースされた「Littoral Commander: Indo-Pacific」ですが、今週は各地の到着報告を尻目に、イタリアから舞い込んだ新シナリオの公開プレイに勤しんでおりました。

Quickdraw - Lorenzo Nannetti () / Littoral Commander: Indo-Pacific - The Dietz Foundation ()

イタリアの国際問題研究者、Lorenzo Nannettiが投稿したLC:IPの新シナリオ。彼の専門分野とウォーゲームの関りについてはこのあたりをご覧ください。

  • 「I wargame per le relazioni internazionali e la difesa」()

シナリオのテーマは、アメリカ軍がたびたび実施している「航行の自由作戦」(FONOP: Freedom Of Navigation OPeration)。中台危機にともない中国が台湾海峡を封鎖。アメリカ軍がSAGを派遣してFONOPを試みたものの、中国艦隊の進路妨害を受けて撤退。これで面子をつぶされたアメリカが「妨害には武器使用も辞さない」と、より強硬な姿勢で再度のFONOPを派遣した、という想定です。

Lc-qd-t000201

ゲーム的にはアメリカ側3隻、中国側5隻の水上艦1TFづつのシンプルな内容。交戦なしでアメリカ側が台湾海峡を南から北に通過できればサドンデス勝利。交戦が発生した場合は、相手に与えた損害によるVP判定。ただし先制攻撃を実施した陣営には、艦艇1-2隻撃沈相当のVPペナルティが付与されます。突破されれば敗北となる中国側に攻撃を仕掛ける動機がありますが、先制攻撃をうければ無傷では済まないアメリカ側が、これをどうしのぐのか?むしろ逆奇襲を仕掛けるべきでは?という読み合いが焦点となるシナリオです。登場部隊、シチェーション、争点ともシンプルで分かりやすく、シナリオを読んだ山田洋行氏からは「ゲーム添付の練習シナリオ「Meeting Engagement」の次に着手するシナリオとして最適ではないか」という評をいただきました。確かにシナリオ2「Luzon Pass」は、一気に難易度が跳ね上がるんですよね。

また本シナリオの巻末には、ファシリテータ(進行役)向けにゲーム終了後のデブリーフィングで参加者と議論すべき課題が挙げられているほか、専門家の視点から「航行の自由作戦」やこれをウォーゲームのシナリオとした意義や目的についても語られているという、ウォーゲーミングに関心のあるゲーマーにとっては至れり尽くせりの内容となっています。

そしてシナリオ上の意思決定自体はは、どのタイミングで攻撃を実施するのか、反撃に徹するのか?というシンプルなもの。おそらくはその開幕第一撃の応酬で勝負が決まると思われたため、今回はX上で両軍の作戦方針をアンケートで募集。その結果を適用してX上での公開ソロプレイを実施。作戦投票の結果は米軍が「反撃限定」、中国軍が「最終局面でのみ発砲」となり、突破ライン直前で中国艦隊からの先制攻撃というシチュエーションとなりました。

結果は電子戦の守りを固めた米軍TFが、すべてのSAMを打ち尽くしながら中国側の第1撃を完封。返す刀で中国TF前衛のミサイル艇が撃沈されます。しかし勝ち逃げを許さない中国軍の空中発射巡航ミサイルの第2撃により、DDGマケインが撃沈、マキャンベルが中破。退避するマキャンベルとDDG(X)のSSM全力射撃でFFG三亚が撃沈、LHD201が中破したところでゲーム終了。損害的にはほぼ互角の結果でしたが、先制攻撃ペナルティにより中国側の政治的敗北の判定となったのでした。

Lc-qd-t0502

とはいえ得点上はアメリカ側の勝利となりましたが、台湾海峡で艦艇が撃沈・撃破されるというのはFONOPの成果としては如何なものなのか?今回はゲーム的に双方均衡した兵力が対峙する設定でしたが、現実では相手の理性に期待しすぎなのでは?というのがプレイしての感想です。ゲーム的な内容だけでなくその背景も、なかなか考えさせられるまさに「ウォーゲーミング」という好シナリオでした。

|

« We Are Coming, Nineveh! : 山田邸 2024/03/03 | トップページ | HF4A, Future Game (M0124+JS) : GGG 2024/03/10 »

Littoral Commander」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« We Are Coming, Nineveh! : 山田邸 2024/03/03 | トップページ | HF4A, Future Game (M0124+JS) : GGG 2024/03/10 »