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La vallee de la mort(AtO#16):GCS12/21

一年前に入手したのち、すっかり塩漬けになっていた本作をようやくプレイ。

La vallee de la mort(AtO#16)

Against the Odds誌16号付録、インドシナ戦争の天王山、Dien Bien Phuの戦いを再現した攻囲戦ゲーム。3月第2週の攻囲開始から5月の末まで、1ターン1週間、大隊ユニットのスケールでプレイします。各ターンには最大7回のインパルスが存在し、各インパルスでは「移動-砲爆撃-射撃-突撃」の手順が繰り返されます。というと長そうなゲームに感じますが、射撃・突撃を実施したユニットはターン終了まで行動できなくなりますので、おおむね各ターンとも2-4インパルス程度に収まります。

戦闘システムは、射撃はダイスでユニットの戦力値以下を出せばヒットを与えるもの。対する突撃は、一般的な戦力比によるCRTで解決されます。また使用できれば強力なのが砲爆撃で、特に陣地前面の平地に対しては射撃に倍する高確率でヒットを与えることができるフランス側の頼みの綱ですが、後述のように大量の補給が消費されます。

問題の補給ポイントは攻囲戦らしくシビアです。フランス軍の場合、ユニットを補給下とするために20ステップあたり1補給ポイント、砲兵1戦力が射撃するごとに1補給ポイントが必要です。フランス軍は45補給ポイントを保有してゲームを開始しますが、これは初期配置の部隊が3ヶ月の籠城戦を続けるには最低限の物資でしかありません。追加の補給は輸送機ユニットにより運ばれてきますが、ベトミン側の対空射撃をくぐり抜け、空中投下に成功しなければなりません。また増援部隊や補充ステップの空輸にも輸送機が必要で、この配分には頭を悩まされます。

ベトミン側も補給とは無縁ではなく、主に砲撃のために物資を集積する必要があります。こちらは盤外の補給ルートエリアがフランス軍爆撃部隊の目標となり、攻防ともギリギリの戦いが続きます。


今回お相手いただいたのは、坂戸初参加の青ヤギ氏。1インパルスの練習シナリオでルールを確認したのちに、さっそくキャンペーンゲームをプレイしてみました。こちらはフランス側の担当です。

青ヤギ氏率いるベトミン側は、南部に孤立したIsabelle陣地を3月中に攻略。4月に入ると本格的な主陣地の攻略に着手してきます。対するフランス側は10輌の戦車を柱に抵抗しますが、じわじわと部隊をすり減らされ徐々に中核陣地に押し込められます。頼みの増援もヴェトナム第5空挺大隊が降下したのみ。対空砲砲火で次々と輸送機が撃墜され、部隊どころか補給物資の投下にも事欠く事態に陥ります。

Ato16_lvdlm_2008122103a
写真は包囲されたIsabelle陣地から脱出してきた3個大隊(右側)が主陣地を目指して敗走中の図。戦力の2/3を失う敗走でしたが、3輌の戦車はすべて脱出に成功し後半の抵抗の要となりました。

次第に逼迫する補給事情に4月半ばには砲兵が沈黙。にじり寄るベトミンを押しとどめるのは白兵戦と戦車のみになります。3週連続で補給投下が途絶えた結果、5月第1週にはついに補給が配分できない部隊が現れる始末。なんとか最後の2ポイントで食いつないで翌週の補給に賭けようと希望をつなぐフランス軍でしたが、イベントは無情にもフランス軍補給ポイントを減少させる「横流し」。万策尽きた外人部隊の降伏により、攻囲戦はベトミン側の勝利に終わりました。

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いきなりのプレイでしたが、ほぼ史実通りのタイミングでの決着で、VPによる勝利段階もベトミン側限定勝利とこちらもヒストリカル。全体的な雰囲気も悪くない好ゲーム……と褒めたいところなのですが、残念ながらルールに曖昧な部分が多いのが困りものです。プレイ中は何度となく「ここは○○という事にしましょう」というルール補完がおこなわれることとなりました。とはいえデザイナーの意図もわからないではなく、捨てるには惜しい素材でしたので、ルールのリライトを希望したい作品です。

来場草々、海のものとも山のものとも知れない未知のゲームでお相手いただきありがとうございました>青ヤギさん
次の機会には是非前近代ものにてよろしくお願いします。

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コメント

こちらこそ対戦いただき、ほんとうにありがとうございました。
また何とか機会を作りたいと思っています。
Devil's Cauldronの多人数戦とかできたらうれしいですね。

投稿: 青ヤギ | 2008年12月29日 (月) 20時37分

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