The Fires of Midway:YSGA08/22
syphalias氏がThe Fires of Midwayを入手したとのお誘いを受け、早速YSGAにてプレイさせていただきました。
The Fires of Midway(Clash of Arms)
Hell of Stalingradに続くWar is Hellシリーズの第二弾。しかしシリーズといっても、共通点はカードを多用するコンポーネント程度。スターリングラードでの市街戦を扱った前作とは戦場もシステムもガラリと変わり、1942年の日米空母戦が本作のテーマとなります。
スケールはミッドウェイや珊瑚海といった各海戦を扱う作戦級に相当しますが、各海戦シナリオを合わせたキャンペーンシナリオもプレイ可能とのことです。登場する艦船は空母(および航空基地)のみ。空母一隻というより、護衛艦を合わせたひとつの機動部隊を表しているものと思われます。
またカードを多用するゲームですが、艦隊の位置関係を表す地図盤は用意されており、この盤上に各空母(機動部隊)を表すユニットが配置されます。航空機の方は機種別のカードで表され、米空母で9枚、日本の正規空母で6-8枚を搭載して登場します。
作戦級空母戦ゲームでは索敵をいかに処理するかが見所のひとつです。本作はこの点を大胆に切り捨て、両軍が敵艦隊を発見し、決戦開始の時点からプレイをスタートする設定となっています。ただし索敵の要素が全くないわけではなく、事前に神経衰弱風のミニゲーム(索敵フェイズ)がプレイされ、ここでめくったカード(「敵艦隊発見」「航跡発見」など)により海戦開始前に戦闘カードを獲得したり、主導権を得ている陣営が決定されます。
この索敵フェイズ終えて初期手札と艦隊配置が決定されると、実際の海戦(戦略フェイズ)が開始されます。この戦略フェイズは、相手に与えた損害により一方の陣営が所定のVPを獲得するか、ある程度の点差をつけて勝ち逃げに成功するまで、以下のターンが繰り返されます。
各ターンの開始時、両プレイヤーには現在の空母(&航空基地:以下略)の数に等しいアクションカードが配られます。プレイヤーはこのカードを配下の各空母に任意に配分します。
両軍がアクションカードを配置した後に、主導権側は自身と相手のアクションカード1枚を交換するSteal Actionを実施します。続いて主導権側から先に盤上の艦隊を移動させ、両軍の移動か終了したらいよいよ空母アクションです。
先に配布されたアクションカードには、このターン中の行動順序を表すイニシアチブ値が記載されています。順番の回ってきた空母は、「全力攻撃」「攻撃&修理」「全力修理&戦闘カード獲得」のいずれかのアクション選択して実施します。
全力攻撃・攻撃を選択した場合、カードに記載されている数までの航空機カードを攻撃隊として発進させることができます。全力修理・修理を選択した場合、記載の修理ポイントを使用した空母自身の損害回復、または既に除去されている航空機カードの復帰を実施します。
航空攻撃は目標の敵空母を決定し、到着判定を実施。到着した攻撃隊で「空戦」と「対空・対艦戦闘」を実施するというオーソドックスな流れです。この到着判定がユニークで、本ゲームではどの航空機も盤上の距離にかかわらず、すべてのエリアを攻撃することができます。
ただし目標までのエリア数だけ索敵カードを引かねばならず、これに記載されていた「燃料アイコン」の合計が航空機カードの燃料値を越えた場合、その航空機は損傷状態を表す裏面の能力で戦闘に突入することになります。索敵カード毎の燃料アイコンの値は0~2個ですので、無理をおした長距離攻撃が成功を収める場合もありますし、足の長い日本機でも航法ミスで思わぬ不覚をとる場合もあります。
続く各戦闘では「攻撃力(空戦・対空・対艦)の数だけダイスをロールして、もっとも大きな目を比較する」「攻撃に成功した側が火力の数だけダメージロールを行う」という共通の手順で処理されます。適合する戦闘カードがあれば、それによる修正(主にダイス増)を得ることもできます。目標が航空機の場合、損害は損傷(裏返し)・除去のいずれかの結果となります。目標が空母の場合は耐久力減・浸水(雷撃)・火災(爆撃)のいずれかの損害が与えられます。
攻撃終了後に損傷状態の攻撃隊の帰還判定が行われ、失敗すると除去となります。帰還に成功すれば損傷状態は自動的に回復します。
最後に両プレイヤーが「戦闘カード補充」「CAP編隊の発進・帰還」「修理」のいずれかの提督アクションを実施し、1隻分の空母アクションが終了します。
すべての空母がアクションを終了すると、損傷を負っている各空母のダメージコントロールを実施します。空母毎に浸水・火災の数に応じた数のダイスをロールし、ここでダメージコントロール値以上が出たダイスの数だけ耐久力が減らされます。これで表面・裏面の各耐久力を使い切った空母は、それぞれ損傷状態(裏面)・沈没となります。
最後に損傷・沈没させた空母、および除去した航空機カードの枚数に応じたVPを獲得してターン終了です。ここでVPでリードしている陣営が翌ターンの主導権側となります。
今回はルールを解読しながら、最も簡単なミッドウェイ海戦シナリオをプレイ。
結果は4ターンで双方2隻の空母を失う痛み分けとなり、航空機損害によるVPでsyphalias米艦隊が一歩リード。1点差でサドンデス得点に達して米艦隊の辛勝となりました。
プレイタイムはルール説明込みで3時間弱。半分はルール解読タイムでしたので、慣れれば実プレイは1時間以下に収まるのではないかと思います。
プレイしての感想ですが、索敵が存在しない点を除けば、意外に普通の空母戦ゲームという印象です。Hell of Stalingradのような斬新(かつ奇っ怪)なシステムを予想していたこともあり、ちょっと拍子抜けした気分です(笑)。
肝心の索敵をオミットしたのは評価の分かれるところですが、最初から攻撃隊の応酬が繰り広げられるエキサイティングなゲームとすることに成功しています。反面大味で戦術の妙には欠けますが、1時間でプレイできる空母戦決戦ゲームとしては巧くまとまっているのではないかと思います。
収録の4会戦をプレイしても4時間程度ですから、キャンペーンゲームにも挑戦してみたいものですね。
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