« 新春平日会 : YS秋葉原 2013/01/04 | トップページ | Andean Abyss : ソフィアゲームクラブ 2013/01/06 »

Pancho Villa : ソフィアゲームクラブ 2013/01/06

新春平日会に続いては、週末のソフィアゲームクラブにも参加。
一日で中南米ゲームを3連戦するという、ウォーゲーム界では珍しいラテンアメリカ空間を発生させてきました。


「我々は 1916 年におこなわれたアメリカによるパンチョ・ビリャ討伐遠征をプレイすることにしたが、これはなかなかの当りだった。ビリャ側のプレイヤーは4 個の山賊「連隊」を担当する。アメリカ側はこの追跡行に連発銃を装備した騎兵隊、貧弱なトラックに分乗した志願兵部隊、いくつかの機関銃、ロバに引かれた野砲、風変わりで頼りない飛行機とジョージ・パットンを送り込んだ。すべては2 時間ほどで終了し、大変愉快なプレイだった。結果も過程も非常に歴史的な雰囲気を感じることができた。」
-ルールブック冒頭、Richard BergのBerg's Review of Gamesからの抜粋

Pancho Villa: Dead or Alive - Sierra Madre Games()

1916年、アメリカはニューメキシコ州のColumbusを襲撃し、メキシコ国内へと遁走するパンチョ・ビリャ一党に対するPershing率いるアメリカ軍遠征隊の追跡行をテーマとしたSierra Madre Gamesの初期作品(1994)。10年ほど前のコマンドマガジンで紹介されていましたので、ご存知の方も居るかもしれません。

この時期のSierra Madre Gamesは、有象無象のDTPメーカーのひとつといったところで、本作もプリンター打ち出しのチープなジップロック作品です。特にドットプリンター印刷かと見紛う地図盤は視認性も悪く、プレイ意欲を減衰させるものでした。しかし昨年BoardGameGeekにて有志がリメイク版カウンター&マップを公開()。俄然やる気に火がつきまして、今回のプレイと相成りました。ちなみにオリジナルと有志版との比較はこんな感じです。(下写真)

Pancho_villa_2013010702a

ゲームはビリャ一党がニューメキシコ州からメキシコのチワワ州に逃走し、米軍追撃隊がメキシコ国境に侵入するところからスタート。ここからチワワ州を縦断し、待ちかまえるCarranza派のメキシコ政府軍と追跡する米軍討伐隊をかわし、マップ南端から脱出できればビリャ派の勝利(脱出できた配下部隊数で勝利レベル変動)。Villaカウンターの逮捕・殺害に成功すれば米軍の勝利となります。ちなみにメキシコ政府軍は当初は米軍プレイヤーが担当しますが、無体な米軍の進入に反発した史実を反映して、ゲーム中のイベントによりビリャ派に担当が移ります。

Pancho_villa_2013010603a

ゲームのシークエンスは移動・戦闘を繰り返すオーソドックスなもの。戦闘ユニットは指揮官に率いられ、盤上では指揮官のみが移動するという、前近代戦やゲリラ戦ではよくあるタイプです。また補給線の概念が存在しないかわりに、各ユニットは移動終了時に何らかの水場付近に存在していなければならないという、給水に関するルールが珍しいところ。この給水を受けられなければ問答無用でステップロスを被りますので、部隊は水場から水場へと飛び石づたいに移動することになります。

またユニットは単独で徒歩移動するほか、騎馬、ロバ、馬車、トラック、鉄道などの輸送部隊を使用して長駆移動することもできます。ちなみに時代を反映してか、騎馬の4MPに対してトラックの移動力はダイス1個×10MPと不確定。道路上ではなかなかの性能ですが、路外の移動コストは他の部隊の10倍となるほか、ガソリンを給油可能なヘクスからしか移動を開始できないなどの制限も多く、使いどころの難しいユニットとなっています。

Pancho_villa_2013010704a

そして本作最大の特徴が、ユニットの移動に際して使用されるイベントチャート。写真のように目的地の地形に応じた様々なイベントが用意されており、各スタックは移動のたびにこの表をロールする必要があります。いちいちイベントロールなど煩雑そうに思えますが、指揮官単位で移動するゲームですので、実際の手間は大したことはありません。結果も「プレーリードックの巣穴:馬ステップロス」「酒場で乱闘騒ぎ:1ターン休み」「道に迷う:交差点はランダムに進行方向を選ぶ」「野鹿に遭遇:部隊ステップ復活(食べた?)」「暴徒に襲われる:友好集落でなければ部隊ステップロス」といった具合の脱力系。実際のプレイはTRPGのワイルダネス・アドベンチャーのような様相となります。やりすぎの感もありますが、消耗判定にちょっとしたフレーバーが追加されているの様なものです。

というわけで今回のプレイですが、対戦を予定していたforger氏(ビリャ派)とN村(米軍遠征隊)にもうお一方(メキシコ政府軍)を加え、オプションの3人プレイを実施。米墨は先にVillaを捕まえた方の勝利となります。ちなみに米墨間の戦闘は任意ですが、戦闘しなくてもスタック不可能でZOC強制停止。街道や重要な拠点に居座られると大変に邪魔です。

展開はVilla本隊が不用意に鉄道線路に近づいてきたため、第1ターンから鉄道移動でメキシコ政府軍がこれを捕捉。辛うじて遁走するも、Villa隊は部隊と騎馬に大損害を被ります。またRopez率いる別働隊は、米軍騎兵によりシエラマドレの山岳地帯に追い込まれ、峡谷の奥で雪隠詰めに。

ちなみにこの間、米軍Pershing本隊は、国境の街の酒場で乱闘騒ぎを起こして1回休み。さらに南方へ先回りすべく、列車でたどり着いた街でも乱闘騒ぎを起こし、規律の悪さを露呈。また単身自動車を駆ってVillaにせまったPatton中尉にいたっては、ガス欠を起こして荒野で停止。後続のアパッチ族スカウトに街でのガソリン調達を命じますが、交渉に失敗したスカウトは怒った住民のリンチにより撲殺。この間にPatton隊は先住民の襲撃をうけ、これまた全滅と米軍受難の日々が続きます。

Pancho_villa_2013010607a

などと米軍がドタバタするうちに、ビリャ本隊は二手に分れて逃走。このうち先行して南下したCervantes隊は、強行軍でビリャ派の村落を渡り歩き、のり潰した馬を次々と乗り換えて逃走に成功。しかし途中で配下の兵隊を失ったVillaは、単独でビリャ派の村に潜伏。脱出の機会をうかがううちに、メキシコ政府軍が到着してしまいます。さすがにこうなると脱出はかなわず、数ターンのガサ入れの末に逮捕され、メキシコ政府の勝利となりました。

プレイ時間は60分ほど。冒頭のBerg先生のレビューにもあるとおり、大変お手軽かつ愉快なゲームでした。今回はあっさりとVillaが逮捕されてしまいましたが、プレイ後の感想戦では終盤にCervantes隊が見せた強行軍と友好村落での物資調達が鍵ではないかとの結論に。いずれにせよ手軽なゲームですので、折を見て再戦の予定です。

|

« 新春平日会 : YS秋葉原 2013/01/04 | トップページ | Andean Abyss : ソフィアゲームクラブ 2013/01/06 »

SoGC」カテゴリの記事

Pancho Villa」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Pancho Villa : ソフィアゲームクラブ 2013/01/06:

« 新春平日会 : YS秋葉原 2013/01/04 | トップページ | Andean Abyss : ソフィアゲームクラブ 2013/01/06 »