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BCT Command Kandahar : GCS 2014/05/25

マーケットガーデン作戦のプレイ後は、新作COIN作戦ゲーム(非COINシリーズ)のお試しプレイを開催。


アフガニスタンでのCOIN の実践として共通しているのは、少人数のグループの拠点を村落近くに作り毎日絶え間なく歩き回り村の長老の信頼を得て村の住人らとも信頼関係を築くことである。その際武装車両やヘルメットや武装ベストなど脅威を与えるものは厳禁である。アフガニスタン警察や治安軍が一緒であればなおよい。具体的には長老らと茶を飲みながら語り合い、村ではシューラと呼ばれるタウンミーティングを重ねる。彼らの土地で生活して文化を理解し侵略者でないことを伝える。信頼関係が構築されて村に受け入れられたら次は経済支援である。戦闘に走りやすい青年層に向けての雇用を創出して戦闘から遠ざける。その際コントラクターは使わず直接雇用して直接賃金を払う。コントラクターを介すると一部の住民だけが潤うことになり不満が蓄積するからである。
-川上高司「オバマ政権のアフガニスタン政策と「対反乱作戦(COIN)」」国際情勢紀要No.81 2011.2

BCT Command: Kandahar - MCS Group()

Joseph Mirandaデザイン、Brian Trainディペロップによる、アフガニスタン戦争におけるカンダハル州のCOIN作戦を扱った作戦級ウォーゲーム。こちらもBraian Trainのデザインによる昨年の注目作、A Distant Plainのカンダハル州のみをクローズアップし、連合諸国と反政府ゲリラとの抗争を抜き出した格好です。

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登場するユニットは概ね大隊規模。これらは大体単独または旅団司令部以下のスタック(旅団戦闘団:Brigade Combat Team)として編成され、エリア式のカンダハル州マップ上で反政府ゲリラとの戦闘、そして地域復興へと奔走します。

反政府側、米軍、そして米軍と共同するアフガニスタン国軍を問わず、本作に登場するユニットには、情報、戦闘、民軍協力活動(CIMIC: Civil Military Cooperation)の3能力値が記載されています。このうち本作の特徴となるのがCIMIC値で、SWET/Netマーカーの設置と排除に用いられます。

このSWETは、汚水Swage, 水Water, 電気Electricityとゴミ処理Trash Removalの頭文字で自治体の基本的なサービスを、またNetはネットワークの略称で、地域住民との社会的な関係構築を表しています。要するにMiranda先生お得意の地域インフラを表したカウンターで、裏表で連合・反政府それぞれの支持を表しています。

また戦闘はヒットダイス・システムにより解決されますが、山岳地以外のエリアでは、余ったヒットが「付帯的損害」として相手のVPになるという恐ろしいルールが採用されています。戦車や空爆能力を持つ米軍の火力は強力ですが、人口密集地での全力攻撃は大きなリスクが伴います。

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このようにウォーゲームではありますが、両陣営の活動は敵味方のSWET/Netマーカーの設置や排除を目的とした、地道な人心掌握活動が中心となります。そして時折相手陣営のプロパガンダ部隊の排除や、辺境のゲリラ訓練キャンプの破壊を目的として、強力な打撃チームが武力介入する、というのがゲームの基本的な流れです。

これらを動かすゲームシステムとしては、Bulge 20(VPG)で用いられたスタッフコマンド・システムを採用。これは管理(J-1), 情報(J-2), 作戦(J-3), 以下CIMIC(J-9)まで、米軍の参謀システムを基に分類されたアクションカード(統合作戦カード)で、次回の行動をプロットしておく一種のデッキ構築システムです。もっとも本作では同一カテゴリのカード内容は共通ですので、デッキ構築というより、コマンドポイント配分のプロットに近いものとなっています。

またアクションカードの手札上限は、ゲームに登場している司令部数(最大6個)まで。1枚のカードで行動できるのも1ユニットまたは司令部だけですので、意外に手数は少なく、プレイは非常にテンポよく進みます。今回もインストからシナリオの終盤まで、所要時間は1時間強というところでした。

最終的な勝利判定は、両軍の獲得したVPの比較。このVP目標は、別途「目標カード」の手札として与えられ、毎ターン1枚づつこれを提示。内容により味方SWET/Net数、除去敵ユニット数、味方拠点数、支配エリア数などから獲得。上級司令部の意向や世論の変化を反映するとともに、毎回のゲーム展開を固定しない工夫がなされています。

というわけで、全体の印象としては、スタッフコマンド・システムで動かすCrisis 2020(VPG)といった趣。インフラを重視するMirandaと、COIN作戦にこだわるTrainの両者の芸風がにじみ出る、大変N村好みの内容でした。

今回はマーケットガーデン後のforger氏と、最初期の介入Interventionシナリオでお試しプレイを敢行。結果はグタグタな展開でしたが、独特のシステム解読という目的は達成。本格的なプレイは次回以降に持ち越しとなりました。

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