Marathon(490BCE) : GGG 2014/08/10

今月のGGGでの課題には、久しぶりのGBoHから最新作をプレイ。

Marathon(490BCE), Hoplite - GMT Games(→)

y.nakano氏提供のGreat Battles of Historyシリーズ最新作。紀元前5-4世紀のマケドニアの登場以前のギリシャ世界、そしてペルシャ戦争を扱った独立ゲームです。

収録されたシナリオは、イオニアのギリシャ植民都市がペルシャ軍と戦うEphesus(498BCE)から、Maraton(490BCE)、Plataea(479BCE)とペルシャ戦争を経て、続くギリシャ諸都市の抗争を追いかけ、Mantinea(362BCE)でEpaminondasが斃れるまでの大小11本。ほとんどが過去のC3i誌にGreat Battles of Alexanderの追加シナリオとして発表された会戦ですが、本作への収録にあたりマップやユニットもリメイク。システムも刷新されての収録です。

問題のシステムはといえば、Alexanderをベースにしてはいるものの、過去のGBoH作品で用いられてきたイニシアチブ順の活性化ルールに替えて、兵科／フォーメーション単位のチット引き活性化ルールが採用されています。また活性化に割り込むトランプのシステムは残されていますが、モーメンタムによる連続行動は「任意のフォーメーションを活性化するチット」に置き換えられています。これはこれで面白いのですが、シリーズ根幹の活性化システムが全面刷新されているのは、旧作のプレイヤーは面食らうところでしょう。

また活性化システム以外も、例によってAlexanderから微妙に変更されてるため注意が必要です。おおよそのところはy.nakanoさんの「北関東戦棋詳細」(→)に記載されていますが、あくまで独立ルールであるため変更点が明示されておらず、これ以外にも細かな変更点が埋もれている可能性が高いです。このあたりはシリーズのコアルールとゲーム特別ルールが分離されておらず、毎回ルール全文を確認しなければならないGBoHシリーズの弊害がもろに出た格好です。

というわけで、今回はペルシャ戦争からいわずと知れたMarathon(490BCE)をプレイ。ギリシャ側はホプリタイ重装歩兵と両翼に若干の投槍散兵、ペルシャ側は中装歩兵と両翼に軽装歩兵（コンポジットボウ）という戦列。ペルシャ側に第4ターンから軽装騎兵が登場しますので、ギリシャ側はこれに側面を突かれる前に、重装歩兵の兵科優越を生かしてペルシャ戦列を突破できるかが勝負になります。

今回の（Ｎ村）ギリシャ軍ホプリタイは、標準的な「速足」Trotでのスタート。本作では会戦最初のホプリタイの移動時に、Run(MA5), Trot(MA4), Walk(MA3)の3種類からランダムに歩調が決定され、敵ユニットに接敵するまでこれが維持されます。これは前記のように移動力が修正されるほか、疲労や射撃防御ボーナス、地形ペナルティなどがそれぞれ設定されています。またホプリタイが主役のゲームですので、他のシリーズでは選択ルールとなっているホプリタイに関する移動制限のルール（移動力の一部消費禁止と右側へのドリフト）が標準ルールに格上げされています。

そして2ターンかけて間合い詰めたギリシャ軍は、第3ターン劈頭に特別ルールのAthenian Eight Stadia Runを宣言。2倍の移動力で一気にペルシャ軍の懐に飛び込みます。正面攻撃とはいえ兵科優越を持つホプリタイの突撃は強力なのですが、今回はＮ村のダイスがことごとくスカ。ペルシャ軍右翼では軽装歩兵を敗走させたものの、中央ではペルシャ親衛隊(MI)と裏切り者ギリシャ傭兵(HI)が突撃を完全にブロック。さらにペルシャ軍右翼では、疾走と弓兵の応射で疲弊したホプリタイが、白兵戦に耐えられずに敗走する体たらく。所詮は市民兵かとギリシャ軍を嘆かせます。

続く第4ターンは、互いに左フックで突破した両軍のチキンレースに。散兵による敗走射狩りでギリシャ側も勝利目前まで迫りましたが、側面攻撃を目論むホプリタイの方向転換(Wheeling Maneuver)が相次いで失敗。混乱した左翼ホプリタイが敗走し、親衛隊の中央突破が決まってペルシャ軍の勝利に終わりました。所詮は市民兵か……。プレイ時間は60分ほど。

というわけでルール差分での混乱はありましたが、これはこれで手軽で面白いシステムであることは確認できました。背景的にはストライクゾーンですの、放置していた自分のセットも準備しておこうと思います。