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Falling Sky : YSGA 2016/07/24

今月のYSGAでは、COINシリーズ最新作の輪講会に参加。
余談ですが、N村がプレオーダーしていたFalling Skyは、発送開始がアナウンスされてから一ヶ月を経てやっと発送。国内販売店でも販売が始まる中、先日ようやく入手しました。プレオーダーって何だったんですかね……。

Falling Sky: The Gallic Revolt Against Caesar - GMT Games()

COINシリーズ第6弾にして初の古代戦。またVolko Ruhnkeデザインとしては、第1作のAndean Abyss以来の新作となります。ちなみに連名のAndrew RuhnkeはVolkoの息子で、今回は親子での共作です。

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今回のテーマはカエサルの「ガリア戦記」後半戦。ローマ一旦平定されたガリア部族が次々と蜂起し、ウェルキンゲトリクスとのアレシア決戦をクライマックスとする紀元前54-50年の5年間となります。シナリオは紀元前54年(ベルガエの王、アンビオリクスAmbiorixの蜂起)、53年(アンビオリクス討伐と第2次ゲルマニア遠征)、52年(ウェルキンゲトリクスの蜂起)の3本。それぞれスタートのみ異なり、ロング、ミドル、ショートシナリオという構成です。
時代が古代に移ったとはいえ、民衆支持に欠ける強力な政府と現地反乱勢力の対決というシチュエーションは、まさにCOINシステムのテーマとする対反乱作戦です。今回の登場派閥は以下の通りで、各勢力の思惑を巧みにゲームシステムに落とし込んでいます。

◆ローマ軍(Roman)

カエサル率いるローマ軍。COINシリーズ的には政府軍に相当します。
勝利条件はローマ同盟部族(他派閥が基地ディスクを配置していない基地スロット)の数を増やすこと。部隊はローマ軍団に相当するキューブと、補助部隊Auxiliaを表すシリンダーの双方を使用する、Fire in the Lakeに似た構成です。当然ながらカエサルに率いられたローマ軍団は強力で、カエサル駒とスタックしている場合は、1キューブ2ヒットの圧倒的破壊力を叩き出します。
泣き所は元老院の意向を反映したローマ軍団の動員制限で、ガリアの状況とイベントにより動員上限が課せられています。このあたりはRuhnkeの出世作、Labyrinthとよく似た処理です。

◆アルウェルニ族(Arverni)

ウェルキンゲトリクスの率いるガリア南部の部族。反政府勢力(極左)に相当。
勝利条件は未投入軍団数が一定数ある状態で、同盟部族(基地数)を増やすこと。特殊能力の嘆願Entreatで敵対部族やローマ補助兵を寝返らせて切り崩し、荒廃Devastateで焦土作戦を展開し、ガリア最多のシリンダー(戦士団Warband)でローマとの決戦に挑みます。もちろんウェルキンゲトリクスも、アクションにボーナスを与えるリーダー駒として登場します。

◆ベルガエ族(Belgic)

アンビオリクス率いる、ガリア北部の部族。反政府勢力(独自)に相当。
勝利条件は同盟部族(基地数)と支配エリアの部族数(基地スロット)の合計を増やすこと。ローマとは関係なしにガリア部族内で覇を唱えるのが目的ですが、序盤にリーチのかかった状態からゲームが開始される事、また勢力圏内に新ローマ派のレミ族Remiを抱えていることから、おおむねボコボコに叩かれます。
こちらもアンビオリクスのリーダー駒が登場します。またゲルマン系の部族という事から、後述のゲルマン人を操る特殊アクションを持ちます。

◆ハエドゥイ族(Aedui)

ガリア中部の新ローマ派部族。反政府勢力(極右)に相当。
勝利条件は、同盟部族(基地数)がゲルマン人を含む他の全派閥を超えること。軍事的には最弱で、単独で達成の目はありません。ローマ軍に両部族が叩き潰されるのを横目に、虎視眈々とガリア筆頭の座を狙う事になります。特殊能力の交易Tradeは、ローマから連絡線の通じるエリアに応じた収入を得るもの。ガリア部族ではありますが、ゲーム的にはほぼローマ側の立場で行動することになります。

2016/08/11 勝利条件の誤記を訂正。

◆ゲルマン人(German)

本ゲームには第5の派閥としてゲルマン人が登場。担当プレイヤーはありませんが、決算フェイズにおいてNPCとしてフローチャートに従った動員、移動、戦闘を実施します。基本的にはプレイヤーの4派閥と対立していますが、ベルガエ族はゲルマン人にオペレーションを実施させる特殊能力を持ちます。

……といった情勢で、ローマとハエドゥイ族、アルウェルニ族とベルガエ族という緩い同盟同士の対決を主軸に、自派閥の勝ち抜けを目論むいつものCOINゲームが繰り広げられます。


Reconquest of Gaul: 53 BC, mid-Winter

初プレイとなる今回は、紀元前53年スタートのミドルシナリオを選択。前年冬に冬営中のローマ軍を計略で壊滅させたベルガエ族(黄)が、近隣部族を糾合して蜂起したところからのゲーム開始。これに対するローマ(赤)の反撃が序盤の争点となります。
ベルガエ族(N村)はカエサル介入前にかたをつけるべく、ガリア北部の駐留ローマ軍と裏切り者レミ族(部族スロットに配置されたローマ基地。ローマ同盟部族を表す)に対する先制攻撃を実施。レミ族は取り逃がしたものの、3個軍団を壊滅させる戦果をあげます。

本ゲームでは戦士団(ゲリラ側シリンダー)も、戦闘では1/2個ヒットの固定ヒットを与えてきますので、まとまった数が集まれば、それなりのヒットを叩き出すことができます。このため他のシリーズ作品と異なり、反乱側も積極的に戦闘を挑むことが可能となっています。また生き残った防御側も、相応ヒットレートでの反撃を実施できるのが他のシリーズ作品とは異なるところです。
さらに本作では、相手のシリンダーの裏表にかかわらずローマ側は戦闘を挑むことが可能となっています。ただし反乱側各派閥には、反撃無視で攻撃を実施できる特殊アクション、待ち伏せAmbushが用意されています。これは隠匿面シリンダーの数で劣る相手にのみ実施できるため、ローマ側も打撃力となるローマ軍団キューブに隠匿面の補助部隊シリンダーを随伴させ、奇襲を防ぐ共同作戦が必要となります。
また本作ではローマ軍に隠匿面を暴く索敵Sweepオペレーションは存在しません。これに代わる特殊アクションとして、補助部隊を移動させ、移動先で敵シリンダーを表にする偵察Scoutが用意されており、強力な正規軍と小回りの利く現地兵の棲み分けがなされています。

こうしたベルガエ族の反乱に対し、ローマ軍(KND氏)は北部ガリアへと急行。ベルガエ族を痛打してレミ族の守りを固めるとともに、ライン西岸での焦土作戦を展開します。これはローマ軍の強奪Seizeオペレーションで、対象となったガリア小部族(基地スロット)はローマ側のVPには加算されますが、いずれの派閥も基地ディスクを配置することができなってしまいます。この悪の帝国の凶行に、ガリア諸部族は戦慄します。

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などと北部ガリアでの死闘が続く中、動員を完了したアルウェルニ族(緑:cedermt氏)がようやく重い腰をあげます。最初の目標は、ローマとの交易でぼろ儲けを続けるガリアの裏切者、ハエドゥイ族(青:M氏)と結んだ都市アウァリクムAvaricum。アルウェルニ族の連続攻撃により、アウァリクムは陥落。カエサルにハエドゥイ族からの救援要請の悲鳴が届きます。さらに呼応したベルガエ族も、レミ族を討伐するべく再び北部に集結。ローマ派はガリア南北で危機に見舞われます。

この窮地に、カエサルは資金の枯渇したアルウェルニ族を放置し、盟友レミ族の救援を決断。攻囲するベルガエ支隊を一撃で粉砕し、ベルガエ派の周辺諸部族も平定します(基地スロットに配置されていたベルガエ基地を除去)。対するベルガエ族は、アンビオリクス率いる主力を温存し、ゲルマン人をそそのかして南仏へと侵攻させる間接アプローチで対抗。両者相手の急所を押さえにかかります。

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こうした北部の激闘と並行して、南部の情勢も急変。軍勢をアウァリクムに集結させたアルウェルニ族に対し、ハエドゥイ族は豊富な資金をなげうっての買収Subornアクションで対抗。アルウェルニ族の留守部隊を切り崩し、急速に支配を広げます。諸派は「だから旅立つときは(荒廃Devastateアクションで)家を焼かないといけなかったんだ!」とデザイナーの意図に気づきますが後の祭り。ローマ軍の攻勢でベルガエ族が同盟部族を大きく減らしていたことも重なり、ハエドゥイ族が単独でガリアの盟主を達成したところで冬季カード(決算フェイズ)が登場。まさかのハエドゥイ族の漁夫の利勝利に終わりました。プレイ時間は5時間ほど。

新要素は多いものの、既存のCOINシステムにうまく落とし込まれており、予想外にプレイは軽快。英文ルール輪講でこのペースですので、Cuba Libreよりは重いがA Distant Plainよりは軽め、といったところでしょうか。シリーズ初の古代戦も、なかなかの仕上がりのようです。

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