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Pax Renaissance : SoGC 2016/11/19

プレイヤーはルネサンス時代の銀行家として、各地の王または共和国に融資、航海や探検のへの出資、秘密の結社への参加、ジハードや異端審理からの解放などを試みる。プレイヤーの選択により、ヨーロッパを輝かしい現代に導けるか、封建主義の暗い夜に留まり続けるかが決定される。そして4種類の勝利条件により、西欧社会がどのような発展を遂げるかが決定される: 帝国主義、国際経済圏、宗教的全体主義、または芸術と科学の啓蒙時代のいずれかが到来するのである。
Pax Renaissance - ゲームの概要

Pax Renaissance, Banking in Europe 1460-1530 - Sierra Madre Games()

Sierra Madre Games, 2016年の新作その2。ルネサンス時代の銀行家として、欧州世界を帝国主義、宗教的全体主義、国際経済圏、啓蒙思想のいずれかの新時代に導くべく、諸国家への影響力を振るうマルチプレイヤー・カードゲーム。メキシコ革命を題材としたPax Porfiriana, グレートゲームを扱ったPax Pamirに続くPaxシリーズ第3弾。今回はオリジナルデザイナーのPhil Eklundの作品です。

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ルネサンス時代のキーパーソンとなる人物や組織を表すカードが並べられた「マーケット」から、手札へとカードを購入。手札からカードを自身の場札となる「タブロー」に配置するためにプレイすると同時に、該当カードに対応した正規軍(ナイト)、守備隊/海賊(ルーク)、宗教家(ビショップ)、交易利権(ポーン)を表すトークンを盤上に配置。タブローに配置したカードの能力を用いてオペレーションを実施する、という枠組みはこれまでのシリーズ作品を踏襲。さらに以下のような新要素が導入されています。

◆マップカードと帝国カード

本作の欧州マップは、南北2列各5枚の10枚のマップカードにより構成されています。そして各カードは両面構成で、それぞれ両面に封建国家と3種(旧教、新教/東方正教、イスラム教)の宗教国家のうち2種類が記載されています。例えば神聖ローマ帝国(北ヨーロッパ中央)であれば初期の封建面と裏面の新教面、マムルーク朝であればイスラム教面と旧教面(十字軍国家状態)といった具合です。

また各マップカードには対応する帝国カードが存在しており、それぞれ王政面と共和制面が記載されています。これらはプレイヤーのアクションやイベントにより宗教や体制を転換。例えば世俗的勝利を収めるためには王国を、ルネサンス的勝利のためには共和制国を多数支配する、宗教的勝利のためには該当する宗教国の確保が必要、といった具合に勝利条件に関わってきます。

◆交易路

Paxシリーズの常として、ゲーム内で流通する通貨(フロリン)は有限で、プレイヤー相互のゼロサムでやり取りされます。しかしマーケット以外のアクションに支払われたフロリンは失われ、欧州のフロリンは減少。デフレにより次第にゲーム内経済は停滞してゆきます。

ここでゲーム外から外貨を呼び込み、経済を活性化させる重要な手段が「交易市」アクションです。これを実施した場合、外貨を積んだ交易船が、盤上記載の交易路に沿って移動。途中の交易路に利権トークンを配置しているプレイヤーに1フロリンづつ落とつつ、外貨が尽きるまで航海を継続してゆきます。

他のプレイヤーに角が立たず、他のリソースを失わない収入手段はこの「交易市」に限られますので、本ゲームでは貿易航路の根元に近い場所に利権を配置しているかどうかが極めて重要です。そして初期配置の交易路はいずれも東方を出発点としているため、ゲーム序盤は東方諸国を抑えているプレイヤーが有利となっています。しかしゲーム中のイベントにより、交易路は次第に西方、大西洋航路に転換。次第に西欧諸国が巻き返してゆく展開となります。

またグローバリゼーション勝利達成のためには、配置した利権の数で他のプレイヤーを圧倒する必要があります。

というわけで貿易利権のあがりで欧州諸国の宗教と世俗を経済面から操り、望ましい未来を作るべく黒幕として奮闘するのが本作のテーマとなります。プレイヤーの立場はあくまで銀行家です。プレイヤーが欧州諸国を操れるのは、あくまで国王を含むキーパーソンとのパトロン関係(タブローへの配置)と資金提供を通じてでしかありません。プレイヤー自身の軍隊のような手駒は一切なく、キーパーソンとの関係が切れれば苦労して育てた国家もそれまで。逆にコネと資金にものを言わせれば、諸国を次々と使いつぶすことも可能。このあたりが一般的な国家経営ゲームとはプレイ感覚が大きく異なる点でした。

また欧州のキャッシュフローはさほど大きなものではないため、ちょっとした軍事行動ですぐに枯渇してしまいます。資金注入による景気刺激がダイレクトに実感できるのは、なかなか面白い体験でした。

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今回はソフィアゲームクラブでお手すきのお二人にご参加いただき、3名での人柱会を開催。写真ではマーケット配置用にPax Porfiriana/Pamirの別売マップを使用しています。

結果は東方重視で東地中海をイスラム教に染めた豚山ゴリ子氏が、イスラム教で宗教的勝利を達成。前述の交易路の関係で序盤は東方優位なのですが、ひとまずは西方プレイでどこまで巻き返せるのか、というのが当面の課題になりました。

またPamirに比べてルールの複雑さは一段増していたため、プレイ時間の増大を懸念していたのですが、意外に短めで2時間強。いつにも増して難解なルールから受ける印象とは異なり、想像していたよりかなり展開の早いゲームでした。

 

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