Labyrinth & Awakening : SoGC 2017/03/19

今月のソフィアゲームクラブでのお題は、昨年以来の積み残しとなっていた"Labyrinth"の拡張。Foreigner氏をお相手に、計3戦をプレイしてきました。

Labyrinth: The Awakening 2010-? - GMT Games(→)

911テロ直後から10年間にわたるアメリカの対テロ戦争をテーマとしたオリジナルの"Labyrinth"に対し、アラブの春やISILとの戦いなど大きく様相を変えた2010年以降のテロとの戦いをテーマとした拡張モジュール。プレイには"Labyrinth"本体が必要です。

本作でもコンポーネントとコアルールは"Labyrinth"本体を使用しますが、カードデッキはすべて入れ替え。また様変わりした国際情勢を反映して、いくつかの新要素が導入されています。

まず目につくのが「アラブの春」やその反動など、民衆運動の高まりを表した「目覚め」Awakingと「反動」Reactionのルールです。これらは主にイベントにより各国に配置され、各ターン最後の管理フェイズにおいて、優勢な側に各国の対米姿勢や経済状態をシフトさせる効果を持ちます。このためある程度民衆運動に弾みがついた国家は、プレイヤーが介入しなくても自動的に一方の陣営に転がり込んでゆくことになります。このためゲームの序盤は、両陣営とも直接介入よりも「目覚め」と「反動」のマーカーをばら撒くことにより、有利な国際情勢を作ろうとする"Twilight Struggle"のごときプレイが繰り広げられます。

さらにイベントカードの中には、主に「目覚め」「反動」マーカーの存在をトリガーとして、対象の国家に「内戦」Civil Warを発生させるものが多数存在しています。これが発生した場合、「目覚め」と「反動」のマーカーはそれぞれ「民兵」Militiaとセルのシリンダーに変換され、これらと駐留するアメリカ軍を巻き込んだ内戦が戦われることになります。この内戦も各ターン最後の管理フェイズにおいて、両陣営が配下のトークン数に応じたヒットロールを実施。この結果に応じて対立陣営のトークンを除去することで表されます。

こうした内戦国家は、体制変更国家同様にジハーディストのリクルートは自動成功。次々と集まったセルによる大規模ジハードが発生し、内戦国家はイスラム教国へと転覆。そして多数のセルが集結したイスラム教国は「カリフ制国家」Caliphateを宣言でき、ますます勢力を拡大してゆくことになります。

序盤の穏やかな民衆運動の高まりから一転。各地で内戦が発生する2010年代の対テロ戦争の再現度はなかなか。ルールも増加した割に"Labyrinth"譲りのプレイ感は軽快で、1デッキのシナリオであればオリジナル同様に2-3時間でプレイ可能です。

Let's Roll! Labyrinth - GMT Games(→)

今回は両プレイヤーとも久方ぶりの"Labyrinth"のプレイとなったため、まずはリハビリのためオリジナル版を一戦。結果はAfganistanを放置して大量破壊兵器で難癖をつけたIraqに侵攻。ここを足掛かりに湾岸諸国を固め、時間切れ判定勝利に持ち込んだUS（Ｎ村）の勝利。プレイ時間は3時間弱。

Arab Spring, Labyrinth: The Awakening 2010-? - GMT Games(→)

ルールを思い出したところで、昼食をはさんで拡張に着手。今回はAfganistanとIraqで相次いで内戦が発生。US（Ｎ村）は順次同方面の掃討を進め、Goodリソースを4か国8点まで引き上げます。しかしこの間にEgyptとLibiaでイスラム教国が誕生。時間切れ判定により僅差でジハーディスト（Foreigner氏）の勝利となりました。プレイ時間はインスト込み3時間ほど。

続く2戦目は、Pakistanでの大規模ジハードに失敗したジハーディスト（Foreigner氏）が、Central Asiaを足掛かりにTurky方面に転進。ジハーディストは北側から中東方面をうかがいますが、各国を同盟化してたUS（Ｎ村）が兵員を縦横に転進させマンツーマンディフェンス。またもIraqとEgyptが内戦に陥りますが、民兵の活躍もあり初期消火に成功。終盤にGoodリソース12点を稼ぎ、USの民主化サドンデス勝利に終わりました。プレイ時間は90分ほど。

Labyrinth & Awakening, GMT Games - AAR