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John Company : GGG 2018/05/13

東大紛争に続いての午後は、シエラ会積み残しの新作へ。

John Company - Sierra Madre Games()

Sierra Madre Games 2017年末の新作。18世紀から19世紀にかけてのイギリス東インド会社の経営を題材としたマルチゲーム。デザイナーはPax Pamir(2015)のCole Wehrleです。

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プレイヤーの立場は、会社の経営に関わる各ファミリー。各ファミリーは手駒となるキューブを社員として会社の各ポストに送り込み、担当部門でアクションを実施することにより経営に関与。会社を繁栄させるとともに、引退して「プライズ」Prizeと呼ばれる何らかの地位や名誉を確保することを目論みます。最終的な勝敗は会社の経営状態にかかわりなく、引退時に獲得したプライズ、保有数する会社の株数、私費により購入した植民地農園により争われます。デザイナーはRepublic of Romaから着想を得たとのことですが、私腹を肥やすことを勧める勝利条件はJunta!といったところです。

ゲームの流れは、「書士」Writerからキャリアを開始したキューブが、空きポストを埋めるように「チェアマン」Chairman(役員人事を担当)と「貿易総監」Director of Trade(一般社員人事を担当)の人事権により順次昇進。全ポストが埋まったところで、会社の各部局のアクションが実施されます。

部局アクションは、まず「船舶購入局」Ship Purchasing Officeが造船所から商船を購入。この際に対応する造船所を所有しているファミリーは収入を受け取ります。

商船に続いては、「商品購入局」Goods Purchasing Officeが工場から貿易品を購入。工場を所有するファミリーは同様に収入を受け取ります。

次に「軍務局」Military Affairsが工場から大砲を購入。もちろん工場を所有する(以下同文)。さらに軍務局は社員ラインとは別ルートで仕官してきた「士官」Officerキューブと大砲を、ベンガル、マドラス、ボンベイの各「総督府」Presidencyに配分します。東インド会社は独自の会社軍を保有しているのです。

軍務に続いては、貿易総監が新造の商船と商品を総督府に配分。またこの際に、士官同様に独自ルートで出仕してきた「船長」Captainを商船と組み合わせることができます。船長は社員の昇進ルートには絡めませんが、会計外の密貿易によりファミリーに収入をもたらす重要なポジションです。また貿易総監は、商船の割り当てのない船長に持ち舟として商船の追加建造を持ち掛けることができます。費用は船長ファミリーの持ち出しとなりますが、確実に船長ポストを確保できる重要なオファーです。

貿易品と軍隊がそろったら、いよいよ各総督府による営業活動がスタート。総督府は対応するインドの各地方に対し、軍隊による征服アクションや、商船と商品による貿易アクション、鎖国状態の地方に対する門戸開放アクションを仕掛けることができます。軍隊による征服が成功すれば、従軍した総督軍の士官は略奪による一時金が得られるほか、征服した直轄州からは毎ターン会社への税収を得ることができます。貿易はある程度まとまった数の商船と商品が必要ですが、成功すれば同地方の税収の数倍に上る収入を得ることができます。また直轄州に対する貿易も可能です。

こうして会社のすべてのアクションが終了したら、直轄州からの税収と、貿易の利益により今期の収入が確定。ここから経費として軍隊と船長の維持費を引いた残金から、チェアマンは株主への配当金と各部局に分配する運営費を捻出。先の部局・総督府アクションは、すべて割り当てられた資金を消費しなければ実施できませんので、この経費配分は極めて重要です。

また株主に対する配当を出すことができなければ、会社の株価は下落。さらに株価が最低値を割れば、政府の介入を招き取締役会(チェアマン、貿易総監と各総督)は全員解任されることとなります。

会社の利益が確定したら、Kremlinのごとく各社員の引退チェックを実施。引退した社員キューブは、可能ならプライズ購入して悠々自適の引退生活へ。購入したプライズに対応したVPを獲得します。

最後にインド各地方の動向に関するイベントを実施し、提示された法案(ルール変更)を決議したらターン終了です。こうして規定ターンが終了するか、会社の破産またはインドの情勢悪化による東インド会社撤収によりゲームは終了。獲得したVPにより勝敗が争われます。

ちなみに採算ラインは非常にタイトで、各セクションがチェアマンの経営方針のもと一致団結しなければ、利益を出すことすらままなりません。勝利条件上は隙あらば汚職を勧めるゲームに思えますが、そんなことをしている暇はない、Republic of Roma初期のような危ういバランスのゲームでした。初見ではほぼ間違いなく破産するであろう、そしてどこかに正解があるあたりは、いつものSierra Madre Gamesの作品です。

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今回の人柱会は、全員初プレイでのインスト5人戦。結果はゲームのメカニズムを把握する前に、会社の資金がショート。放漫経営のN村チェアマン(4期在任)に代わって就任したS木チェアマンが、緻密な計画による起死回生の貿易プロジェクトをぶち上げますが、商船の配分問題を巡ってYMD貿易総監と対立。プロジェクトに必須であるS木家私貿易船の参入が拒否されたため、S木家は経営方針を夜逃げモードに変更。経営破綻により取締役会が一掃されると同時に、インド各地方が相次いで鎖国状態に変化し、インド貿易の旨味が消失。イギリス本国はインド貿易からの撤退を決定し、東インド会社閉鎖により第5ターン(全6ターンのショートゲーム設定)でゲーム終了となりました。プレイ時間はインスト込み4時間ほど。勝者は敗戦処理担当となったものの、抜け目なく広大な植民地農場と婚姻によるプライズVPで稼いでいたS木家でした。

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