Keep it Moving! : 2024/04/23
先日の泰斗に続いて、今週はKCL若手の小品をプレイ。
Keep it Moving! - Evan D'Alessandro (→)
デザイナーはKings College Londonの戦争学部(Department of War Studies)に在籍する大学院生。専門分野に関するミニゲームを多数公開している方ですが、最近のウォーゲーミングに関心のある方であれば「Jaws of the Dragon」の人と言えば思い当たるのではないかと思います。
本作は旅団規模の戦闘団を率い、作戦の「モーメンタム」を維持して任務達成を目指すソリティア・カードゲーム。システムは単純で、ラウンド毎にデッキからカードを1枚引き、記載されたイベントを解決。12点から開始される「モーメンタム」がゼロになるか(戦機を逸して任務失敗)、作戦目標である「決定的戦闘(Decisive Battle)」が引かれた場合に終了。後者ではその時点の配下部隊の消耗が一定レベルに収まっていれば任務達成、勝利となります。
カードの内容は、戦闘もしくは指揮官に何らかの判断を迫る決断イベントの2種類。戦闘であれば配下の3個大隊と支援アセットから部隊を選択投入し、各部隊の消耗に応じた戦闘力で解決。投入された部隊は消耗レベルが増加してゆきますので、このローテーションが重要です。もちろん戦闘に失敗すればモーメンタムの低下や消耗が追加されます。対して決断イベントは「強行軍:実施して部隊を消耗させる/実施せずにモーメンタムを失う」といった、リスクとモーメンタムを天秤にかけるものです。
このように本作のゲーム的な決断は、リスクを取ってモーメンタムを維持するか否かの判断と、配下部隊の消耗を鑑みたローテーションのみ。とはいえ指揮官に要求される判断は、突き詰めればこれでしょう。極限まで削ぎ落した、ソリティア・ウォーゲームとしては上手い切り取りです。欠点といえば「決定的戦闘」の登場が完全にランダムであるため、運の要素が強いのは否めないところ。とはいえ「デッキの後半に入れてシャッフルする」などの調整は容易ですし、本当に10分で終わりますので再挑戦も容易です。ノートで述べられているように、チームとして意思決定を議論するためのストーリーを生み出すための、ウォーゲーミング用ツールとしても有効でしょう。
「Keep it Moving」いきなり上の方の政治的判断で待機されれた件について。 pic.twitter.com/MHkSLt9q4G
— N村 (@enumura) April 23, 2024
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