Battle Below Decks, USS Johnston : 2024/09/21

10年以上前から追いかけているPnPゲームに、数年ぶりのテストプレイ・キット最新版が登場。ちょうど諸々のゲーム関係作業が手すきとなったところでしたので、一気に工作してプレイしてみました。

Battle Below Decks, USS Johnston off Samar - Jonathan Miller (→)

当初は「Inside the Armor」のタイトルで製作されていた、第二次大戦アメリカ海軍艦艇のダメージ・コントロールをテーマとしたウォーゲーム。敵軍のユニットは一切登場せず、一隻の艦艇を描いたボード上で被弾とそこから生じる火災や浸水に対処しながら、艦の機能を維持し、規定ターンを生き延びることを目指します。

本作は2017年まで断続的にテストプレイ・キットが公開されていたのですが、数年前に「Compass Games」でのリリースを目指して開発を続けているという「CSW Expo」からのニュースが紹介されてからは公開情報も途絶。久しぶりのキット公開となりました。

Ｎ村が以前にプレイしたのは、台南沖航空戦での被雷後に囮として放置されたクリーブランド級軽巡洋艦ヒューストンの戦いをテーマとした「Playtest Kit 3」でしたが、今回の「2024 v1」はサマール島沖海戦でのフレッチャー級駆逐艦ジョンストン。個人的には未プレイだった「2016 v1」を発展させた内容のようです。艦艇の見下ろし平面図だったゲームボードが側面図に変わったのは把握していましたが、「Twilight Struggle」ベースのカードドリブン対戦ゲームが、イベント駆動のソリティアゲームに変更されていたのには驚きました。あれはあれで面白かったのですが、ウォーゲーム界の時流でしょうか。

というわけで今回のキットの部隊となるのは、ジョンストン最後の戦い。栗田艦隊と接触しての突撃開始から、魚雷の射点につくまでの5ターンを生き延びることが大目標。さらにシナリオの「ナラティブ」として「栗田提督の苦悩」のトラックが用意されており、各ラウンドに指定された「回避機動」「砲撃」「煙幕展開」などの成功度、および最終ターンの「魚雷発射」アクションによりこのゲージが動き、栗田提督の心を折ればジョンストンの勝利となります。もちろん遅滞行動に失敗すれば「米艦隊も大したことがないな」と日本艦隊の突撃が始まりゲームオーバーとなります。

新たなソリティア・システムの方は、各ラウンドの開始時に日本軍の攻撃や被害の拡大イベントが記載された「脅威」デッキを3枚引き、この結果を適用。「攻撃命中」のカードが含まれていた場合、戦艦から駆逐艦までの攻撃者とその効果が記載された「被弾」デッキと命中個所のランダマイザである「ロケーション」デッキを引き、指定個所に「被弾」の効果を適用します。

このラウンドの被害が決まったら、次は「得点」デッキを引いてエヴァンズ艦長が下したこのラウンドに取るべき行動を決定。この目標を達成するべく、プレイヤーは3回分のアクションでクルーの配置や応急活動を実施します。

そしてラウンドの最後に「得点」カードの条件をどれだけ満たしたかにより、「栗田提督の苦悩」ゲージを操作します。目標が「回避機動」であれば機関と操舵系の、「砲撃」なら主砲・弾薬とその管制系の、「煙幕展開」であれば機関と煙幕展開装置の稼働状況により、「苦悩」の修正値が増減します。

このラウンドを3セットで1ターンが経過。ターン終了時に「苦悩」の値が回復し、この綱引きで勝敗が決定されます。もちろん途中で浸水による浮力喪失や、弾薬庫や魚雷発射管の火災による爆沈に追い込まれればゲームオーバーです。

旧版のボイラーから始まる動力ツリーの維持や、左右のバランスが重要となる浸水のコントロールなどの要素がバッサリとカットされてしまったのは惜しいところですが、こちらはこちらでスッキリとプレイしやすい内容となりました。

というわけで今回は和訳が終了した勢いでの人柱プレイ。セットアップの「最初の被弾」で前部煙突付近に命中した焼夷弾が、艦橋と前部魚雷発射管に延焼するというハードモードでのスタート。これをなんとか押しとどめた第1ターンでしたが、敵弾の破片により5番主砲付近でもオイル漏れが発生。これが後部弾薬庫に流れ込んで火災が発生し、あれよという間に大火災に。第2ターン冒頭で弾薬庫が爆発し、艦尾をへし折られたジョンストンはタフィ3最初の戦没艦となったのでした。初回の不慣れな状況とはいえ、これはひどい。

1944年10月25日フィリピン、サマール沖。突如出現した日本艦隊に対し、タフィ3護衛隊は護衛空母群を逃がすべく突撃を開始。USSジョンストンから日本艦隊まで18000ヤード。 pic.twitter.com/ZIDUNSQAlP

— Ｎ村 (@enumura) September 21, 2024