海警 .vs. 海保 - レビュー&AAR : GCS 2025/01/26
日曜日の坂戸例会は、同人ウォーゲームの力作の人柱会を連戦。
『海警 .vs. 海保 -砲煙なき海戦-』ジブセイルゲームズ (→)
『海保のお仕事!』に続く、ジブセイルゲームズの海上保安庁図上演習シリーズ第2弾。日本領海全体での海上保安庁の包括的な活動を描いた前作から一転。今回は尖閣諸島の周辺海域のみをクローズアップ。この緊迫した海域を舞台に、相対する海上保安庁と中国海警局の担当者として、同海域の主権確立を目指す2人用ゲーム。
ゲームの基本的な構造は前作同様で、まず対処すべき事案を「発生状況カード」で提示。これに対して日中双方が船艇と航空機を送り込み、事案の解決を目指すというもの。ただし今回は2陣営の対立構造ですので、いずれの陣営が主体となって事案を解決するかというミニゲームが実施されます。
これは「警告発出」から「執行!法爆撃」まで、どれだけ強硬な姿勢で事案に当たるかという「対処行動カード」を両陣営交互に提示するチキンレース。どちらかが折れて対処レベルが決定されると、レベルに応じた優勢判定を実施します。この優勢判定はレベルが低い(法執行の範囲)ほどランダム性が少なく、票読み通りに勝敗が決まります。対して武器使用や武力行使まで踏み込めば、ダイスによるブレも大きくなります。また最後に対処行動カードを切った陣営には、優勢判定にボーナスが与えられます。
最終的に優勢を確立した陣営が、事案カードに記載された「国内支持(政権からの信頼度)」「国際支持」「対日(対中)感情(民間世論)」の各パラメータの変動を獲得。さらに最後に使用された対処行動カードに記載された、上記パラメータ変動を追加して終了。基本的には優勢を確立した側の各種支持は高くなり、強硬な対処を示した側の国際支持が低下する、という格好です。また先に対処行動カードのプレイから降りた側は、自重する姿勢を国際社会が評価したものとして、国際支持の減点が無効となります。こうして2件の事案を連続して解決したところで、1か月相当が終了。最後に双方の尖閣諸島海域の貼り付け部隊をローテーションさせ、この優劣により次回の主導権を決定したらターン終了です。
本作も前作同様に図上演習のサンドボックスとしての性格が強く、シナリオはこのターン数の長短のみのバリエーションが収録されています。ゲームの基本的構造は主導権(主権優勢)確保のための尖閣諸島の貼り付け哨戒部隊と、偶発事案のための予備部隊の配分とローテーションの苦悩を味わうツールですので、ひとシーズン3か月程度を目安に、ある程度の期間をプレイすることをお勧めします。
◆2024総練
今回は、メインシナリオのこちらをひとシーズンの想定で、1-2月の2か月2ターン分をプレイ。N村は中国側、海警を担当しました。
針路規制による法執行でなんとか穏便に片がついた一月上旬に続き、同下旬の中国漁船に対する検挙行動では、先の出動で面子をつぶされた海警が威嚇射撃を放ってヒートアップ。このチキンレースに乗った海保が実力行使にいたり、双方の出動艦艇に複数の損傷船が発生する大事件となります。
この現場を制した日本側は、その強硬姿勢に国際世論から冷ややかな目を向けられたものの、海保の行動に対する政府からの支持と、対中感情(中国遅恐るに足らず!)は天井に。対して受け身となった中国側は、海警の弱腰に政府と世論の突き上げが厳しくなりますが、自重する姿勢に国際世論は一定の評価を示します。
続く2月は尖閣諸島での海域優勢を目指す双方のつばぜり合いが続きますが、先の大規模衝突に冷や汗をかいた双方の現場は、エスカレーションをおさえて自重。なんとか2月を乗り切り、序盤の出動艦艇が再登場するローテーションの一巡を確認したところで、今回は協議終了となりました。
202x年1月、東シナ海。尖閣諸島海域に侵入した中国艦艇に対し、双方のコーストガードが出動。針路規制の操船勝負を海保が制し、中国は面子を失った。 pic.twitter.com/NvG1NxL3aM
— N村 (@enumura) January 26, 2025
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