北鎮戦闘団 - レビュー&AAR : GCS 2025/01/26
『Urban Operations』『Combat Infantry』からはや8年。ながらくフォロワーが現れなかった「積み木の戦術級」に、本邦から待望の新星が登場しました。
『北鎮戦闘団:96時間の死闘』さぶろくワッチ (→)
北海道名寄市付近での青軍と赤軍の大隊戦闘団の衝突、という想定で3本のシナリオ(ミッション)を収録した現代戦ウォーゲーム。ウォーゲームとしてのシステムは、300mヘクス、小隊ユニット、歩兵は隣接戦闘、重火器のみ射程ありという作戦戦術級。ユニットは立てて隠匿、回転ステップロスの伝統の積み木スタイルです。
シークエンスは中隊戦闘団を単位とするチットプル活性化。活性化したフォーメーションは、各ユニットが1アクション(移動/射撃/特殊効果)を実施する活性化フェイズを2回連続して実施します。公開状態(戦闘展開)と隠匿状態で移動力が異なるのが個人的にはツボ。またいわゆるZOCや臨機射撃のルールはありませんが、敵ユニットに隣接したヘクスを連続して移動する場合、2回分の移動アクションが必要というルールで非現実的なすり抜けを防止しています。戦闘は戦力値以上ヒットのダイスロールを相互に実施する、定番のファイアパワー方式。この手のシステムで攻撃側が先制攻撃なのが目を引きましたが、ここは現代戦の特性なのかデザイナーに聞いてみたいところ。
ルールはこの程度で、シンプルながらツボを押さえた内容がわずか5ページにまとめられており、ベテランなら即プレイ可能でしょう。初心者でも要点をまとめたルール解説動画(→)が利用できます。同人ウォーゲームとしては異例の箱入り、積み木ユニットというコンポーネントからシリーズ展開は大変そうではありますが、汎用の現代戦術級としても十分なポテンシャルを感じました。
◆名寄北1:Time Up
今回は戦闘序盤、住民の避難経路を守るため、青軍が遅滞戦闘を繰り広げる最初のミッションをプレイ。N村は攻める赤軍大隊戦闘団を担当しました。
国道40号線初野駅入口の交差点付近(JA北はるか物流センター)を陣地化し、かき集めた対戦車誘導弾をつるべ打ちしてくる青軍に辟易した赤軍は、東側斑渓神社付近まで迂回し、陣地の火線外からの迂回突破をもくろみます。対する青軍も、予備部隊を西側に延翼して対抗しますが、兵力を集中した赤軍が競り勝って突破。美深ICに到達し、前線部隊の退路を遮断します。
ここで陣地を放棄して突破部隊の背後に回った青軍と、市街東側からさらなる突破をはかる赤軍との南下レースが発生。最終的に市街側から機械化歩兵小隊が、東側から丘陵地帯を踏破した軽歩兵小隊が美深ICを制圧封鎖。交通の要衝を失った青軍の投了となりました。
実はこの時点で、優勢に突破したかに見えた赤軍部隊も、打撃力を残した部隊は機械化歩兵、軽歩兵、重迫撃砲の各1個小隊のみ(他はすべて防御のみの1ステップまで消耗)。ブロックゲームらしく、ブラフで赤軍が差し切ったプレイでした。
◆メモ
明確化:「戦場の霧」は自発的に敵に隣接できない。(→)
バランス調整:このミッションでは、「戦場の霧」は「輸送路ポイント」に隣接できない、「輸送路ポイント」破壊のためのユニット数には計上しない、移動力を制限する、などの設定を推奨。何らかの制限がないと「戦場の霧」の無限移動でゲームが終わってしまう。
要協議:陣地に補給された弾薬をユニットが持ち出せるか?初期配置の保持数を上限とするのが無難か。
要協議:「Day1AM」の交互ユニット活性化手順でパスができるか?パス処理のルールが面倒になるのでパスなしが無難。
要協議:赤軍ミッションカードの機械化歩兵中隊が、表面では3個小隊、裏面では2個小隊の編成。バランス調整のネタにすればいいと思う。今回は2個小隊編成でのプレイ。
いつか何処かで。赤軍の侵攻に対し、青軍は住民避難の時間を稼ぐべく、市街北部に防衛線を構築した。 pic.twitter.com/3lA0CM98Fr
— N村 (@enumura) January 26, 2025
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