Vendel to Viking : GCS 2025/03/29
年度末坂戸例会最初のアイテムは、昨年のリリースから一年近く塩漬けになっていた、困惑のアイテムより。
Vendel to Viking - ION Game Derign (→)
欧州をヴァイキングが席巻するひと時代前のヴェンデル期(西暦6~8世紀頃)の欧州北部を舞台に、スカンジナビア半島の氏族を率いて一族の功績を競うボードゲーム。IGDのシリーズラインとしては「Pax Viking」(2021)の前編という位置づけで、プレイした氏族を「Pax Viking」に持ち込んでプレイする連結要素も収録。デザイナーは前作同様、IGDのリードデザイナーであるJon Mankerです。
ゲームシステムは前作同様に「PAX」シリーズの簡易版という趣。マップ上の〇型の「ロケーション」に、6種の「タレント(職能)」に分類された「ファミリーメンバー」のトークンを派遣。空白ロケーションには「ベンチャー(冒険)」タイルが配置され、同地で実施できるアクション(収入を得る、ファミリーメンバーを集める、等)が決定されます。
またシリーズ定番の3列のマーケットには氏族の偉人である「フォーミタブル」が並べられており、各フォーミタブルのロケーションに、同じくタレントが一致するファミリーメンバーを配置していれば、これを購入して「うちの部族の誰某がここで偉業を成し遂げた」として「氏族ツリー」のスロットに配置することができます。この氏族ツリーの各スロットには、追加のファミリーメンバーと資金、そして勝利条件カードが配置されており、偉人の活躍によりこれらがアンロックされてゆくよいう仕掛けです。またフォーミタブルの登場に使用されたファミリーメンバーは「祖先ボード」に移され、こちらのタレント別のマジョリティ判定により、金銀銅の三段階に分かれた「功績スタンド」を獲得します。
ゲームは規定ターンが終了するか、2個目の金の功績スタンドが獲得されたターンで終了。判定は得点制で、アンロックされた勝利条件カードの達成VPと、獲得した功績スタンドのVP合計により決定します。氏族を発展させ、各分野でサガにうたわれるような功績を残せば勝利、という格好です。こうしたルールは実質6ページほどにまとめられており、テーマのシステムへの落とし込みも、ゲームとしての面白さもなかなか。デザイナーの意図する通り、ファミリーでも楽しめる歴史ボードゲームとしては十分な出来です。
そして「Pax Viking」と同様、本作を本邦でプレイする際に問題になるのがコンポーネントの言語依存性です。ロケーションに配置される冒険タイル105枚はすべてユニークな内容で、そこで実施できるアクションの英文テキストが記載されています。プレイ中はマップ上に約20枚に配置されるこの冒険タイルの内容を適宜確認し、氏族にとって最適なアクションを見極めなければなりません。英文自体は簡単な内容とはいえ、想定対象であるライトゲーマー、ファミリー層を相手にする場合、これはなかなかきつい。もちろんコンポーネントを日本語化すれば問題ありませんが、このライト向けゲームで円形タイル110枚ほかを工作するのは勘弁していただきたい。N村の環境では、本来のファミリーゲームとしてのポテンシャルが発揮でそうもない、扱いに困る作品でした。Jon Manker、ゲーム自体の出来は悪くないんですが、ちょっと私の求める路線とズレているんですよね……。
とりあえず素読みで付き合っていただけそうなところには、持ち込んでみようかと考えております。
550年、欧州北部。スカンジナビア半島から欧州各地への移民が始まった。 pic.twitter.com/2XwqhPzUoI
— N村 (@enumura) March 29, 2025
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