« 「大隊級戊辰戦争:東山道戦記」ゲームレビュー | トップページ | Pax Illuminaten - ゲームレビュー »

LC: Baltic, By Unseen Means & Perilous Passage : 山田会 2025/04/26

ひさしぶりの山田洋行氏との対戦は、待望の新作でのシナリオ行脚へ。

Littoral Commander: Baltic - The Dietz Foundation ()

というわけで同作収録のシナリオより、未プレイの2本に着手してみました。

脅威の影 - By Unseen Means

まずはエストニアのタリンに集結した避難民キューブを、スウェーデンの港(ストックホルム南部のニュネスハムン)へと2隻のドック型揚陸艦(LSD)で避難させるという非戦闘員退避作戦(NEO: Non-combatant Evacuation Operation)のシナリオ。両陣営の部隊の損害に加えて、避難民キューブの輸送と撃破が得点となります。

Lcb_2025042604a

緊迫しつつも紛争の勃発前であるという設定から、ゲーム開始時は戦闘状態になく、戦闘はロシア側の先制攻撃でのみ可能となります。ただしロシア側は特別ルールの「進路妨害」コアアクションにより、「攻撃」とはみなされずに50%の確率で同へクスの敵艦船を1へクス任意の方向に強制移動させることが可能です。これは他のFNOPシナリオを作成する際にも使えそうな、応用の広がる面白いルールです。

ここで彼我の戦力(LRS/IAMD)やターン数から、艦隊戦による正攻法を断念したロシア軍(山田洋行氏)が選択したのは、潜水艦攻撃とプロキシ部隊の展開。前者は護衛艦艇とスタックしたLSDを「進路妨害」で引き離し、ASWの範囲外で潜水艦の魚雷攻撃で仕留めるというもの。これは見事成功し、スウェーデン沖合でホイッドビー・アイランド(LSD41)に2発の魚雷が命中。乗船していた避難民もろともバルト海に沈みます。

そしてロシア軍はもうひとつの奇策として、JCC「プロキシ部隊」(Proxy Force)により、ニュネスハムン港に難民受け入れ反対のデモ隊に偽装したロシア傭兵を展開。さらに「ワグネル社の傭兵」(Mercenaries: Wagner)の効果により、プロキシ部隊を毎ターン追加。こうしてニュネスハムン港には、NEO任務部隊の到着までに10枚もの「礼儀正しい人々」が集結するという緊迫した情勢となります。こうしてスウェーデンに上陸した避難民も、突如発生した不可解な暴動により大半が死傷。結局スウェーデンに保護された避難民は、8個中2個のみという大惨事に。続く米軍怒りの全力攻撃によりロシア艦隊の3隻が撃沈されたため、VP判定は米軍の勝利という結果となりましたが、状況的には虚しさの残る結末となりました。

ところで今回、あまり考えずに「避難民キューブはHPを持つものとして攻撃できる」という解釈でプレイしましたが、改めてシナリオを確認するとキューブ自体を攻撃可能とは一言も書いていない。指定されているのは揚陸艦に搭載されている状態でホストが撃破されると、対応するキューブも除去され得点にされる、という処理のみですので、これは「避難の妨害は揚陸艦の帰趨でのみ決まる(=下船した時点で安全が確保される)」というのが、シナリオ本来の趣旨ではないかと思います。というわけで結果としては参考試合なのですが、そこを無視すれば「確かにその設定ならその手があるな」と膝を叩いた奇策でしたのでレポートしておきます。

とはいえ洋上撃破のみの設定となると、前述のようにロシア側が不利なのは否めないところ。ターン数を短縮するか輸送距離を伸ばし、「進路妨害」の遅延が勝敗に直結するような調整が必要ではないか、という感想戦となりました。


危険航路 - Perilous Passage

大西洋からカテガット海峡を通過し、カリーニングラードへの突破をもくろむロシア艦隊を海陸戦力で阻止するという、バルト海版「ルソン海峡」シナリオ。ロシア側は収録艦艇ほぼ全力の2個TFが登場。米軍は海陸各1TFが登場します。

Lcb_2025042619a

OOBを眺めた事前の下馬評では、ミサイル戦力に劣り、機雷も配置された狭い海峡を通過しなければならないロシア側に相当不利なシナリオではないか?という懸念がありました。ロシア艦隊(山田洋行氏)は、本シナリオの「毎ターンCPが補充される」という特殊設定をフル活用。初期JCCを防御系のアセットで固めると、通常は使い捨てのサーバー防御系JCCを毎ターン回収して常備。さらに「欺瞞情報工作」(Disinformation Operations)を繰り返して米軍戦術ネットワークを飽和させながら、防御に徹して海峡を通過。米軍はなんとかロシア艦2隻を撃破したものの、大半の艦隊を突破させたロシア側の勝利に終わりました。

感想戦では米軍が通常のJCCサイクルに沿ったJCCを選択してしまった失策が話題に。こちらも強力な使い捨て系JCCをフルに回せば勝機はある、という結論となりました。

|

« 「大隊級戊辰戦争:東山道戦記」ゲームレビュー | トップページ | Pax Illuminaten - ゲームレビュー »

Littoral Commander」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「大隊級戊辰戦争:東山道戦記」ゲームレビュー | トップページ | Pax Illuminaten - ゲームレビュー »