« Pax Illuminaten : GCS 2025/05/24 | トップページ | LC: Baltic, Hanging by a Thread : GCS 2025/05/25 »

メックウォー'90 : GCS 2025/05/25

日曜のお題は、本邦ウォーゲーム史の闇に埋もれた迷作をのリブートに挑戦。

「メックウォー'90」ホビージャパン ()

Forger氏提供。ホビージャパン社ウォーゲーム末期(1986)の現代戦術級ウォーゲーム。1両/分隊ユニットでダイス一発振りの戦闘システムに、各国軍の実際の編成に即した小隊・中隊・大隊の指揮範囲と、小隊単位の命令システム(移動/射撃/射撃&移動)をアドオン。なるほど本体を軽くしたうえで、現実に即した指揮統制のゲームが作りたかったんだなと推測できる内容で、狙いどころは悪くない。ゲームシステムも末期ゆえの粗はあるものの、元がシンプルなため補完も容易。コマンドコントロールの効いた現代戦戦術級としてはまずまずの内容です。

ところが本作の問題となるのが、このシステムを動かすシナリオ。独立したシナリオブックには25本ものシナリオが収録されていますが、いずれも要約すれば「●軍大隊と●軍大隊/中隊の遭遇戦/攻防」「マップは●と●を使用。自軍側のマップから進入/自由配置」というテンプレートを入れ替えただけのもの。特に勝利条件が問題で、いずれのシナリオもマップ上の地勢が争点となることはなく、損害による士気低下からのモラル崩壊のみが争点となっています。

ちなみに本作の基本編制である大隊規模のユニットが登場すると、マップの端から端までの横隊で、マップ全幅を射界に収めることもできる規模感です。こうなるといずれのシナリオも漫然とした正面からの打ち合いで、士気の消耗戦に競り負けた側が敗走するだけというワンパターン展開となります。N村も発売当初に入手したのですが、これに気付いてお蔵入りとなったという過去があります。

とはいえシステム自体の素性は悪くない。ならば面白い設定のシナリオさえ用意できれば……とForger氏がシナリオを作成。30余年ぶりのリブートなるか?というのが今回のセッションです。

Mw90_2025052504a

今回のシナリオの設定は、戦線を突破したソ連軍中隊戦闘団が、NATO軍救護所の設営された集落に接近。アメリカ軍中隊戦闘団が、負傷者の後送とその援護の遅滞戦闘を実施する、というもの。N村は守る米軍を担当しました。

指揮範囲の関係でマップ中央の街道を前進してくるソ連軍に対し、米軍は戦車小隊(M1)と歩兵小隊の2段構えの防衛線を設定。残るM113小隊が負傷者を後送する時間を稼ぐ、という作戦です。まずはソ連軍偵察小隊(BRDM)が米軍戦車小隊と接触。待ち伏せで半数が撃破されたところでソ連軍が煙幕を展開して突破。これ以上の長居は無用と、米軍戦車小隊は丘の背後へと撤収します。

Mw90_2025052507a

突破したソ連軍の隊列は、続いて米軍歩兵部隊のキルゾーンに侵入。生き残りの偵察部隊歩兵の制圧を試みますが、米軍はジャベリンATMを後方の機械化歩兵小隊(BMP)に集中。短時間でこの過半数が撃破され、士気回復の暇もなくソ連軍の中隊モラルが崩壊。米軍の防衛成功に終わりました。プレイ時間は2時間ほど。

シナリオの調整はまだまだですが、簡易な命令システムで再現されるファイア&ムーブメントなど現代戦術級のサンドボックスとしての本作の素性を再確認できたのは収穫。やはりコンポーネント全体としてのディペロップ不足が惜しい、という感想戦となったのでした。

|

« Pax Illuminaten : GCS 2025/05/24 | トップページ | LC: Baltic, Hanging by a Thread : GCS 2025/05/25 »

MW90」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Pax Illuminaten : GCS 2025/05/24 | トップページ | LC: Baltic, Hanging by a Thread : GCS 2025/05/25 »