Littoral Commander: Indo-Pacific 2nd & Australia - ゲームレビュー
リリースから3年を経て「Littoral Commander」シリーズにも、第2版と本家以外の制作となる追加モジュールが登場。ゴールデンウィークの内職に、コンポーネント確認と和訳仕込みをチマチマと進めておりました。
Littoral Commander: Indo Pacific 2nd Edition - The Dietz Foundation (→)
2023年に出版された、アメリカ海兵隊の新ドクトリンにフォーカスした現代戦ウォーゲームの第2版。アメリカ海兵隊「海兵沿岸連隊」相当の部隊とその相手となる人民解放軍海軍海兵隊(PLANMC)を小隊規模のユニットで、これを支援する水上艦艇を1隻単位のユニットで収録。沖縄、台湾、マラッカ海峡、フィリピン北部の各マップを舞台に、シナリオ形式で海兵隊が尖兵となるグレーゾーン紛争を戦う、という内容は初版を踏襲。これに第2作「Littoral Commander: Baltic」で新に導入された、揚陸艦などへのユニット、アセット(JCC)の搭載ルールを追加した内容となっています。また収録シナリオも6本から13本に大幅に増加しています。
この搭載関係のシステムでは、ユニットとJCCには搭載時の必要容量、新たに登場した揚陸艦にはこの搭載容量の上限が設定されています。コンポーネントの面では揚陸艦ユニットが追加されただけでなく、既存のユニットとJCCにも必要容量の値が新たに設定されました。このためルールだけでなくカウンター、ユニットトラッカー、JCCのいずれも更新されており、マップも微妙にトリミングの範囲(へクス列)がずらされているなど、コンポーネントの大半に手が入っており、旧版とは微妙に互換性がありません。旧版と同じものは潜水艦記録表だけではないでしょうか?
ちなみにオーダー時には差分備品のみの「アップグレード版」も用意されていたのですが、こちらの注文者にも実際には通常版のボックスが届くことになりました。確かにここまで変わると、アップグレード版を作っても仕方なし。また旧版ではコンパクトすぎた箱も、2倍の厚みに変更されて収納力がアップしています。これは地味にありがたい。
搭載ルール以外の「Indo-Pacific 2nd」で追加、更新されたルールについては、「Baltic」のルールにフィードバックする修正がすでに実施されています。英語版、N村作成の和訳版ともBoard Game Geekにアップされていますので、気になる方はそちらもご確認ください。
Littoral Commander: Australia - The Dietz Foundation (→)
オーストラリア軍関係者が作成した「Littoral Commander: Indo Pacific 2nd」の追加モジュール。オーストラリア軍のユニットとJCC、ソロモン諸島、ニューギニア東部、東ティモール、オーストラリア北西部の4枚のマップを収録。中国軍(とアメリカ海兵隊)のコンポーネントは収録されていませんので、プレイには「Indo Pacific 2nd」が必要です。
追加ルールと同じ冊子に収録されたシナリオは13本。上記の「Australia」収録マップだけではなく、「Indo Pacific 2nd」のマップを使用するシナリオも収録されています。またいくつかのシナリオでは、アメリカ海兵隊とオーストラリア軍が合同して中国軍と対峙するシナリオも収録されています。こうした米豪共同作戦では、相互運用性ネットワークのルール使用が前提となっています。
そして新登場のオーストラリア軍の特徴は、徒歩歩兵と牽引砲が標準であること。これらの非車両ユニットは、輸送系のJCCを使用しなければ移動できない反面、隠匿配置(通過だけでは発見できず、ASWのようなへクスを指定した捜索が必要)と待ち伏せ攻撃(2d20で一方的に攻撃)のルールが追加されています。ジャングルでの紛争が主戦場となるオーストラリア軍らしいルールです。
一方の海軍部隊は、艦艇は能力自体は一戦級であるものの、最強のホバート級DDGでもLRSx4, IAMDx8と継戦能力には不安が残ります。最強の艦艇は導入が予定されているヴァージニア級潜水艦という格好です。またほとんどの艦艇が「対潜ヘリJCCを搭載している場合のみASW戦闘が可能」という新カテゴリーに設定されており、この対応で対潜ヘリJCCが大量に収録されています。またオプションからは艦砲ルールが標準入り。
JCCでは影響メーターを操作する認知戦関係のカードが「人道支援作戦」の1枚しか収録されておらず、完全に米軍任せという格好です。こうした関係者の手によるオーストラリア軍の自己認識、そして想定されている戦場(シナリオ)は、本邦のゲーマーにとってはなかなか新鮮なパッケージとなっています。まさか現代戦で、本邦ウォーゲーマーの勝手知ったるソロモン諸島のマップを目にすることがあるとは思いませんでした。JORN(Jindalee Operational Radar Network)という警戒網も、私は本作で初めて知りました(オーストラリア拡張マップ限定。1ターンに1回、オーストラリア拡張マップ上の全海上ユニットを60%で公開)。
そいてオーストラリア軍に限らず、欧州を中心に各国で「Littoral Commander」シリーズのモジュールが制作されているのはウェブ上で複数確認されています。いまのところ製品化されたのは本作だけですが、こうした「ご当地モジュール」の広がりはユーザーとしては歓迎したいところです。ちなみに本家の次回作は「Indo-Pacific」の自衛隊モジュールの模様です。
「沿岸戦闘団指揮官」Littoral Commander - 解読中メモ https://t.co/00V6iHx1ep #posfie IP第2版の更新情報とオーストラリアの細かいネタは6ページ目から。
— N村 (@enumura) May 7, 2026
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